【東京 23日 AFP】原子力発電所での事故隠ぺいが相次いで発覚したことを受け、政府は23日、原発事故の報告対象として、いわゆる臨界事故だけでなく、制御棒脱落も含める方針を明らかにした。

制御棒は原子炉の出力調整のためのもので、必要に応じて中性子を吸収し、炉心内の出力をコントロールする。

 相次ぐ事故隠ぺいは、北陸電力に端を発する。北陸電力では8年前の1999年6月、15分間にわたり臨界に達する事故が発生、15日になってこれが明らかになった。
 
 1999年の臨界事故では幸い人的被害はなかったものの、そのわずか3か月後には国内最悪の臨界事故が発生、作業員2人が死亡し、600人が被爆していることから、激しい非難の声が高まっている。

 今回の決定に先立つ22日には、東京電力が、福島県中部の発電所で30年ほど前に制御棒5本が脱落、臨界状態が7時間以上続いたことを明らかにしている。同社は事故当時の報告を怠っていた。

 相次ぐ事故隠ぺいを受けて政府は電力各社に対し、国民の信頼回復と安全性改善に向け、過去の全事故について報告を行うよう要請している。

 写真は2004年、4人が死亡する事故を起こした福井県の関西電力美浜原発。(2004年8月9日撮影)(c)AFP/Toru YAMANAKA