【ニューヨーク/米国 20日 AFP】イラクのシーア派武装勢力の数千人がイラン国内の訓練キャンプからイラクに送り込まれていると、イラン野党「国民抵抗評議会(National Council of Resistance of Iran、NRC)」の元報道官、Alireza Jafarzadeh氏が20日、亡命先のニューヨークで記者会見を行い明らかにした。

 イラン政府が中東地域の不安定化を狙っていると非難する同氏によると、キャンプではイラク駐留米軍の攻撃に多用されている小型兵器、迫撃砲、道路脇爆弾を用いた攻撃訓練が行われているという。

 Jafarzadeh氏はキャンプについて、「散発的な攻撃活動や、シーア派武装勢力への個人レベルの武器支援などという小規模な話ではない」と警告、訓練キャンプは統率のとれた組織的なもので、イラン政府の支援のもとで高度な戦闘訓練が行われていると説明する。

 キャンプの所在地はテヘラン近郊と南部Jalilabad付近とみられ、特殊部隊員、狙撃兵としての訓練や、対地空ミサイルの使用法などを教えているとみられる。

 2002年に初めてイランの核兵器開発疑惑を指摘したことでも知られるJafarzadeh氏は、訓練キャンプの存在に関する情報源は明かせないものの、信頼できるイラン国内筋だという。

 同氏は、同キャンプで訓練を受けイラクに送り込まれた兵士の総数については触れていないが、「確実に数千人規模にのぼる」と語った。

「イラク国内で展開する外国資本の軍事作戦としては、資金面だけでなく、爆発物、兵器、諜報活動など全ての面において最大規模のものだ」。

 同氏の情報筋によると、訓練キャンプの参加兵士のほとんどが、バグダッドのシーア派地区や南部のナジャフ(Najaf)、カルバラ(Karbala)、バスラ(Basra)出身のイラク人とみられる。

 Jafarzadeh氏は、さらに、イラクのシーア派に最大の影響力を持つイラク・イスラム革命最高評議会(Supreme Council for the Islamic Revolution、SCIRI)の指導者、アブドルアジズ・ハキム(Abdel Aziz Hakim)師の関与を示唆した。SCIRIは現イラク政府内で、他のシーア派政党らとともに統一会派を形成している。

 写真はワシントンD.C.で、イランの核政策についての記者会見を行うJafarzadeh氏。当時は戦略的政策協議会の委員長だった(2006年1月10日)。(c)AFP/Nicholas KAMM