【ワシントンD.C. /米国 17日 AFP】共和党の下院議員3人が、北朝鮮の「テロ支援国家」指定を解除しないよう求める書簡をコンドリーザ・ライス(Condoleezza Rice)国務長官あてに送付した。

■北朝鮮による指定解除の要請

 「テロ支援国家」指定の解除は2月13日の6か国協議合意事項に盛り込まれた重要な要素の1つで、北朝鮮は同合意に基づき核兵器開発計画の廃絶に着手することとなっている。米朝国交正常化をめぐる交渉の席で北朝鮮は、米国に対して「テロ支援国家指定解除に向けたプロセスの開始」を要請している。

■書簡の内容

 ライス国務長官にあてた書簡を送付したのは、Ileana Ros-Lehtinen議員、Edward Royce議員、Donald Manzullo議員の3人。同議員らは「北朝鮮の核問題をめぐる交渉においては慎重な外交的アプローチが必要」と訴え、「テロ支援国家の指定解除は時期尚早。解除に向けたいかなる動きにも反対する」との立場を示した。

 3人は、ミサイル技術の拡散、継続する米国紙幣の偽造ならびに過去に実行された米国、韓国および日本国民拉致の問題に触れると同時に、2006年7月4日の北朝鮮ミサイル発射実験にイラン人オブザーバーが立ち会っていたとされる疑惑についても言及し、「北朝鮮が南アジアおよび中東における『懸念国』向けのミサイル技術移転を継続している」と非難した。

 この書簡の中で3人は「テロ支援国家リストを外交交渉の切り札に使用すべきではない。これを許せば米国の安全保障は将来的に重大な危機にさらされる」と警告し、「急いで北朝鮮をリストから外せば、9・11以降高まっていた同リストの完全性が損なわれる」との懸念も示した。

 Ros-Lehtinen議員、Royce議員およびManzullo議員は「テロ支援国家の指定を解除するには、北朝鮮に対して少なくとも4年間にわたってすべてのテロ行為への関与を停止するよう求める必要がある」と主張し、「拉致問題や1996年にロシアのウラジオストク(Vladivostok)で発生したと伝えられる韓国人外交官暗殺事件を含む過去のテロ行為全てを解決する必要がある」とも語った。

  同書簡では、米国永住権を有するキム・ドンシク(Kim Dong-Shik)牧師の未解決拉致問題についても言及された。同牧師の拉致については、韓国の裁判所が「北朝鮮当局の関与」を認定している。

 テロ支援国家のリストは、国務省(State Department)が1年に1度発行する。

 写真は、マイアミ国際空港で記者会見に臨むRos-Lehtinen議員(2006年8月2日撮影)。(c)AFP/Roberto SCHMIDT