【北京/中国 14日 AFP】今年度のアカデミー賞7部門でノミネートされ注目を浴びたハリウッド映画「バベル(Babel)」が中国で11日、公開された。しかし、当局の検閲によりヌードシーンがカットされ、オリジナル版よりも5分短縮されての登場となった。

 国営北京朝報によると、検閲がカットしたシーンは、心に悩みを抱えた日本人の少女が年上の男性を誘惑するために裸体となるシーン。少女の役を演じた菊地凛子はアカデミー助演女優賞にノミネートされた。

 検閲を実施した中国映画協会の関係者は、AFPの取材に対しコメントを控えた。

 ブラッド・ピット(Brad Pitt)とケイト・ブランシェット(Cate Blanchett)も出演している「バベル」は、アカデミー賞7部門でノミネートされた。グローバル化する現代社会における文化の衝突を描いた複雑なストーリー展開で、数か国で撮影され、セリフにも5言語が使用されている。

 カットされた部分以外にも、モロッコの警察の残虐性を描いたシーンなど、中国当局に「有害」とみなされる可能性のあるシーンはあるが、北京朝報は他のシーンに関する検閲については報じていない。

 中国当局は、国内での公開を許可する外国映画を毎年20本に限定している。観客の年齢制限を決めるレーティング・システムは存在しないが、当局が暴力的すぎるとみなしたり、性的露出度が高い、政治的に微妙、などと判断した作品の製作者側にカットを命じる例は頻繁にある。

 「バベル」の中国での「公式」バージョン公開は11日からだったが、すでにノーカットの海賊版DVDが無料で出回っている。
 写真は、2月25日、第79回アカデミー賞(The 79th Academy Awards)授賞式会場に現れた菊地凛子。(c)AFP/Getty Images