【西安/中国 14日 AFP】西安(Xian)郊外に点在する皇帝陵墓の発掘をめぐって国内では白熱した議論が繰り広げられてきたが、権威ある経済学者、Hong Kong UniversityZhang Wuchang氏が発掘に肯定的な見解を示したことで議論が再燃している。

 Zhang氏は発掘活動について「秦始皇帝(Qinshihuang)稜を発掘することによって得られる文化的発見の価値はエジプトのピラミッド以上だが、発掘調査を開始しなければ無価値も同然。調査の開始が同霊びょうの価値を知る唯一の手段」とする記事を発表した。2006年終盤に同氏のウェブサイトに掲載されたこの記事は、国内で大きな反響を呼んだ。国営新華社通信(Xinhua)によれば、24万人以上の国民がそれぞれの見解を持って議論に参加しているという。

■秦始皇帝陵の発掘で陝西省の観光収入は倍増

 Zhang氏によれば、有名な兵馬俑を含む秦始皇帝陵を発掘することで、陝西(Shaanxi)省の観光収入は倍増するという。秦始皇帝陵には、中国史上最初の皇帝で秦王朝(Qin Dynasty、紀元前221年から紀元前207年)を支配した皇帝が埋葬されている。

 一方、秦始皇帝稜発掘チームリーダーのDuan Qingbo氏は「この種の思考回路こそが、今日中国が直面している問題だと考える人は多い。関係者の多くは科学的な側面を無視して、発掘調査によってもたらされる金銭的利益にばかり気をとられている」と語る。同氏は「もし発掘調査を実施するのであれば、出土品の保護を徹底する必要がある。さもなければ、金のたまごを産むニワトリを殺すようなものだ」とも語った。

■皇帝陵墓の発掘効果は84億9000万元

 1974年に兵馬俑坑が発見されて以来、秦始皇帝陵を訪問した人数は4000万人を超える。Shaanxi Economic Information Centreの調べによると、2006年前半には外国人観光客35万6000人、中国人観光客1260万人が西安を訪れ、双方ともに前年比約13%増となっている。これによりもたらされた収入は84億9000万元(約1273億円)にのぼる。

 秦始皇帝陵の他にも、漢王朝(Han Dynasty、紀元前206年から紀元24年)の景帝(Jing Di)が埋葬されている
Han Yangling稜や、唐王朝(Tang Dynasty、紀元618年から907年)の高宗(Gaozong)と女帝武則天(Wu Zetian)の合葬墓、乾稜(Qianling)が有力な発掘候補地として挙げられている。

 Han Yangling博物館は2006年にオープンしたばかりだが、乾稜は既に有名な観光地となっている。

 写真は、北西部陝西省西安郊外にある兵馬俑博物館(Terracotta Warrior Museum)で兵馬俑のレプリカを販売する男性。値段は10元(約150円)。(2007年2月6日撮影)(c)AFP/Frederic J. BROWN