【カブール/アフガニスタン 28日 AFP】駐留米軍基地を視察中のディック・チェイニー(Dick Cheney)米副大統領を狙った自爆テロから一夜明けた28日、厳戒警備の下、アフガニスタンを訪問した英国のマーガレット・ベケット(Margaret Beckett)外相がハミド・カルザイ(Hamid Karzai)大統領と、首都カブール(Kabul)で会談した。

■「増派後」を見据えた話し合いも

 チェイニー米副大統領が出国した数時間後にカブールに到着したベケット英外相は、大統領官邸で政府高官や、米軍主導の連合軍、さらに北大西洋条約機構(NATO)軍の司令官らと協議した。議題については安全保障上の理由から現在のところ明らかにされていない。

 カルザイ大統領は前日、旧政権タリバン(Taliban)の残存勢力およびイスラム系の支援組織を打倒し、「アフガニスタンを安定化する責務」として、英国がNATO主導の国際治安支援部隊(ISAF)に同軍1400人の増派を誓約したことに歓迎の意を表明した。ISAFに参加する英軍兵士は6300人から7700人となる予定で、多くはタリバンによる襲撃が続く南部ヘルマンド(Helmand)県への派遣が見込まれる。

 英外務省によると外相のアフガニスタン訪問の目的は、「(タリバン政権崩壊後)5年を経過し、同国が今年の重視する課題などを検討する」ためとしている。また、カルザイ大統領との会談では、英軍増派の「次のステップ」についても話し合われると思われる。その中には「英民間人によるアフガニスタン再建、麻薬取引撲滅への取り組みの強化なども含まれる」としている。


■前日のチェイニー副大統領を狙ったテロにも言及

 また、前日、チェイニー副大統領を狙ったバグラム(Bagram)米軍基地での自爆テロについては、タリバンが犯行声明を発表し、同勢力の広報担当Yousuf Ahmadi師もAFPに対し「基地に滞在中のチェイニー副大統領を狙った」と語った。

 チェイニー氏は、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)およびタリバン残存勢力への対策協議のためアフガニスタンを電撃訪問し、悪天候によりバグラム空軍基地で1泊していた。

 テロによる死者数については複数の報告がある。内務省では20人が死亡、うち16人がアフガニスタン人と発表。一方、同基地の米軍主導連合軍は死者の中に、6人の民間人のほか、米国人2人、韓国人1人が含まれていたとしている。

■「アフガニスタンと英国の関係は悪化」の報道も

 一方、アフガニスタン訪問の前の26日、ベケット外相はパキスタンのペルペズ・ムシャラフ(Pervez Musharraf) 大統領と会談した。「アルカイダなどのテロ組織は、英国やパキスタンへも脅威を与えており、対策の連携が必要だ」との見解を示した。

 しかしアフガニスタンは、「パキスタンがタリバン支援に関与している疑いがある」との主張。英政府はこけれを公式に認めていないため、アフガニスタンと英国の関係は悪化していると、今月、英メディアが報じていた。


 写真はカブールの大統領官邸で28日、会談に臨むベケット英首相(右)とカルザイ大統領。(c)AFP/MASSOUD Hossaini