【東京 24日 AFP】日清食品は24日、「インスタントラーメンの生みの親」で1月5日に96歳で死去した同社元会長安藤百福さんの社葬を来週、大阪の野球スタジアムで行うことを発表した。

 葬儀のテーマは「宇宙」。説教とシンセサイザーの音楽が流れる中、宇宙の映像が巨大スクリーンに映し出されるという。会場は5万5000人を収容できる「京セラ・ドーム」で、式典は34人の僧侶によって執り行われる予定。

 安藤さんは占領下の台湾に生まれ、その後日清食品の創業者として一代で巨額の富を築いた。世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」と、世界初のカップめん「カップヌードル」を発明。

 晩年は史上初の宇宙食ラーメン開発に意欲を燃やしていた。日清食品が同氏の社葬のテーマを「宇宙」としたのは、こうした背景がある。

 戦後の食糧難時代、安藤さんは、闇市で大勢の人がそばを買うため長い行列を作っているのを見て、それが即席めんを考案するきっかけとなったという。「食足世平」(食足りて世は平らか)--。これが生前の安藤さんの信条だった。

 即席めんを開発し世界中に広めた功績を讃え、葬儀の式典ではトップクラスの企業経営者らや、中曽根康弘元首相をはじめとする有力政治指導者らが悼辞を述べる。

 写真は、スペースシャトル「ディスカバリー(Discovery)」に宇宙飛行士の野口聡一さんが持ち込んだ、史上初の宇宙食ラーメン「スペース・ラム(Space Ram)」を披露する安藤さん(2005年7月27日、大阪のインスタントラーメン発明記念館にて)。(c)AFP/Yoshikazu TSUNO