【ダブリン/アイルランド 17日 AFP】アイルランドのローマカトリック教会は、飲酒率の急上昇を懸念し、国民に対して「ギネス(Guinness)ビール」やウイスキーを控えるよう促した。

 国内全域で発表された11日の司教教書によると、教会は150年前に展開された禁酒運動を復活させようとする動きを見せているようだ。

 司教らは、21世紀のアイルランドはヨーロッパで最も豊かな国の1つとなったが、飲酒問題との戦いには、まだ勝利していないと主張。過去10年間、欧州各国におけるアルコール消費量は減少傾向にあるのに対し、アイルランドでは4割も増加していると指摘した。
 また、「四旬節(Lent)」には、アルコールを控えるか、完全に断酒する絶好の機会だとして国民に禁酒を促した。

■聖パトリックデーにも禁酒?

 四旬節は次週に訪れる「灰の水曜日(Ash Wednesday)」から4月8日の「イースター ・サンデー(Easter Sunday)」まで行われる。となれば、3月17日の「聖パトリックデー(Saint Patrick’s Day)」も禁酒しなければならないことになるが、この日は盛大な祝祭やイベントが行われ、パブで泥酔するまで酒を楽しむのがアイルランドの伝統だ。

 16日には、ダブリン(Dublin)の中心街で飲酒・薬物禁止運動の開始式が行われ、同運動を組織する司教らは、「アイルランド人は依然としてアルコールと破滅的な関係にある」と指摘した。同時に、アイルランド人の飲酒問題に対する意識の低さを「国民的な悲劇」と表現し、国民が責任を持って変革に取り組むよう訴えた。

 最近実施された、20歳未満の飲酒人口および15歳以上のアルコール消費量に関する世界各国の比較調査で、アイルランドはいずれも1位との結果が出た。過疎地でのパブ専用交通機関を設ける計画を政府が検討するなか、司教らは飲酒問題に関する「国民全体の議論」を促す構えを示している。

 写真はビールで乾杯する様子(2005年11月23日撮影)。(c)AFP/CARL DE SOUZA