【東京 16日 AFP】宮内庁は16日、皇室を題材にしたオーストラリア人ジャーナリストの著書「プリンセス・マサコ(Princess Masako: Prisoner of the Chrysanthemum Throne)」の内容に抗議する書簡を同庁ホームページ上で公開した。

■宮内庁が各種の間違いを具体的に指摘

 同著は、皇太子妃雅子さまを英国の故ダイアナ妃と比較し、雅子さまの「適応障害」は皇室公務の重圧よるものとする内容となっている。

 これに対し、渡辺允侍従長は著者ベン・ヒルズ(Ben Hills)氏に宛てた抗議書簡のなかで、「(日本)政府は、同書のゆがんだ皇室像に驚き、対応を検討している」と述べ、同書を読んだベテラン記者から「ほとんど全ページに間違いがある」との報告を受けたと明かした。

 また、同書の「天皇、皇后両陛下は支障のない公務だけに出席し、ハンセン病患者施設などは訪問しない」との記述に対し、両陛下が40年にわたってハンセン病問題に関与してきた事実を具体的に療養所名をあげてヒルズ氏に反論している。

 このほか、両陛下が太平洋戦争の激戦地、サイパン島や阪神・淡路大震災の被災地などを訪問している事実もあげている。

 また、同書が両陛下の行為を「無意味で形式的なことばかり」としていることについて、そうであれば、世論調査での皇室への支持が常に75%を超えるのはなぜかと迫る。

■政府側からの抗議によって、同書への関心が高まる結果に

 同著に関しては、外務省も「事実無根の記述がある」として、ヒルズ氏に謝罪と訂正を要求している。

  ヒルズ氏はこれに対し、日本政府は同氏を「脅して」、3月の日本語版発行を阻止しようとしているとして、謝罪を拒んでいる。

 しかし、「プリンセス・マサコ」をめぐる騒動は、著者に利する結果となったようだ。通販書店、アマゾン(Amazon.com)日本によると、同書は洋書部門で「ハリー・ポッター(Harry Potter)」に次ぐ2位につけている。

 写真は皇居で、新年の一般参賀に訪れた人々に手を振られる雅子さま(2007年1月2日)。(c)AFP/KAZUHIRO NOGI / FILES