【東京 16日 AFP】厚生労働、農水両省は16日、米国産輸入牛肉のなかに輸入条件に違反するものがあったため、当該出荷施設からの輸入手続き保留措置をとったと発表した。

■衛生証明書に記載のないバラ肉が混入

 両省の発表によると、米食肉処理大手タイソン(Tyson Foods)のネブラスカ(Nebraska)州レキシントン(Lexington)工場から出荷された冷凍牛肉473箱(9トン)に、米農務省発行の衛生証明書に記載されていない牛肉(バラ肉2箱)が混入していた。

 これについて米国側からは、「当該の牛肉は20か月齢以下と証明できない可能性がある」、また「誤って日本向け貨物とともに出荷された」との説明があったという。日本政府は米国産牛肉輸入再開の条件として、当該牛肉が20か月齢以下であることの証明を義務づけている。

 報告を受けた安倍晋三首相は首相官邸で、「かつての輸入全面停止時とは異なり、今回は危険部位は含まれていなかったと聞いている」と述べ、「輸入停止は1工場のみに適用されるものとの考えを記者団に示した。

■度重なる輸入停止

 かつて米国にとって最大の牛肉輸出国だった日本は、「狂牛病」として知られる牛海綿状脳症(BSE)への懸念から、2003年以降、米国産牛肉の輸入を2度にわたり停止した。

 しかし、牛肉輸入問題が日米関係の障壁となり、米側が経済制裁も辞さない構えを見せたため、日本側は食肉処理時に20か月齢以下の牛肉に限定し、2006年7月に輸入を再開した。ただし、脳、脊髄などBSE感染の恐れがある部位については、引き続き輸入停止措置をとっている。

 輸入が再開されたとはいえ、数年におよぶBSE問題による米国産牛肉のイメージダウンは大きく、日本での米国産牛肉の人気は回復していない。

 写真は、米国産輸入牛肉をチェックする成田国際空港の動物検疫職員(2006年8月8日撮影)。(c)AFP/Yoshikazu TSUNO