【ソウル/韓国 27日 AFP】台湾の研究チームがこのほど、高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)のワクチン開発し、第1回目の動物実験で成功したと発表した。

 ワクチンを開発したのは、衛生研究院(National Health Research Institute)のPele Chuang博士が率いる、25人からなる研究チーム。

 細胞培養技術を利用しているため、人体実験前に保健省による検証が必要とされる。検証は2008年6月末までに行われる見通し。予定通りに進めば、2008年後半にはワクチンの量産が開始されるという。

 「2006年にまったくゼロの状態から研究を始めたことを考えれば、現時点でワクチンが開発できたのは画期的なことだ」とChuang博士は語る。

■ 政府も多額援助

 この研究プロジェクトに対し、政府は約400万台湾ドル(約1.48億ドル)を投じている。研究所当局は、鳥インフルエンザが流行した場合に備えて、ワクチン生産が可能な体制を整えておくことが不可欠だとしている。

 2003年後半以来、鳥インフルエンザによる死者数は世界中で160人以上にのぼる。今後、ウイルスが高病原性の鳥インフルエンザ・ウイルスに変異し、人間の伝染率が高くなる可能性があるとして危惧されている。

 台湾ではこれまで2005年と2006年の2回、鳥の糞から毒性の弱いH7N3型ウイルスが検出された。2003年には金門島(Kinmen)の養鶏農家で感染例が発見されたことを受けて、台湾全土で鶏を中心とした家きん類46万7000羽が処分された。

 写真は、台湾南部の嘉義(Chiayi)市にあるHsinkang公園で、鳥インフルエンザ対策の一環としてニワトリを捕まえようとする保健省当局者(2005年10月25日撮影)。(c)AFP/Sam YEH