【シドニー/オーストラリア 30日 AFP】「捕鯨船への体当たりも辞さない」という攻撃的な活動手法で知られる反捕鯨団体「シー・シェパード(Sea Shepherd Conservation Society)」が、このほど、日本の捕鯨船の居場所に関する情報提供者に2万5000ドル(約300万円)を提供すると発表した。

 捕鯨を妨害しようと南洋上で捕鯨船の捜索を行っている同団体のポール・ワトソン(Paul Watson)代表は、南極海でAFPの取材に対し、「日本の捕鯨船は、われわれ反捕鯨団体の追跡をかわすために高度な衛星技術を使用している」と語った。

 「われわれも、衛星が上空を通過する時間には氷山の陰に隠れるなど、手は打っているが、不利な立場にあることには変わりがない」と、ワトソン代表。

 「シー・シェパード」は、同団体が所有するFarley Mowat号の他にも、高速船とヘリコプターを投入し、14か国からの総勢70人という布陣で、日本の捕鯨船6隻を追跡している。しかし、追跡は3週間にも及んでおり、今後2-3週間で発見できない場合は燃料の補給のため港に帰還せざるをえず、焦りが見え始めている。

 ニュージーランド政府は19日、日本の捕鯨船がクジラの殺りくを行っている映像を公開。同政府は日本の捕鯨には反対する立場をとっているものの、捕鯨船の位置情報の公開は拒否している。クリス・カーター(Chris Carter)環境保全相は、先だって、同団体の追跡が暴力に発展する可能性への危ぐを表明している。

 ワトソン代表は、こうした政府の姿勢に対し、「ニュージーランド政府は、日本の犯罪に加担している」と非難した。

 写真は、メルボルン港に停泊中の「シー・シェパード」所属「Robert Hunter」号。(c)AFP/Sea Shepherd Conservation Society