【ダボス/スイス 27日 AFP】貿易交渉を中心に世界経済、気候変動、開発問題について4日間にわたって話し合われた世界経済フォーラム(ダボス会議)が27日、最高潮を迎えた。

■ドーハラウンドの再開に結びつけることはできるのか

 トニー・ブレア( Tony Blair)英首相はU2のボノ(Bono)氏らと出席したアフリカ問題のパネルディスカッションで、途上国が貧困から脱するためには新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド、Doha round)が必要不可欠だと強調、「今後も協議を継続するチャンスはいくらでもある」と述べた。

 欧米と途上国が激しく対立した5年におよぶドーハラウンドは、2006年7月にパスカル・ラミー(Pascal Lamy)世界貿易機関(WTO)事務局長が凍結して以来、中断したままとなっている。最終決着の見通しが立たない現段階で、ダボス会議閉幕後にラミー事務局長がドーハラウンド再開に踏み切るかどうかは、いまだ不透明なままだ。

 欧州委員会(European Commission)のピーター・マンデルソン( Peter Mandelson )通商担当委員は24日、英紙「フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)」の取材で、数か月以内に交渉は再開されると前向きに語っているが、対するスーザン・シュワブ(Susan Schwab)米通商代表部(USTR)代表は、より慎重な見方を示している。

 WTO交渉については、ラミー事務局長が27日にも交渉再開を決定する予定ではあるが、合意には各国政府が国会の承認を得なければならず、専門家らは、現状からすると国内での反対は免れられないとの見方を示している。

 米国では大統領に通商協定交渉権限を付与する「ファストトラック(fast-track)」が6月に期限切れとなり、権限の更新に下院多数派の民主党が反対すれば、今後あらゆる契約交渉が下院の批判を受けることになる。また欧州でも、農産物市場を輸入品から保護するため、フランスなどが主体となって関税引き下げに反対している。

■経済や気候変動、中東和平など多岐にわたる議題の中で、アフリカの貧困問題をトップに

 ダボス会議に出席した政財界の代表らは、世界経済や気候変動、中東和平、アフリカ開発など、さまざまな課題を協議した。またパレスチナ自治政府のマフムード・アッバス( Mahmud Abbas)が出席し、25日にイスラエルのツィピ・リブニ(Tzipi Livni)外相やシモン・ペレス(Shimon Peres)副首相と和平に向けて会談を行ったことも注目された。

 開催地のダボスはスイスの高級リゾート地。社会問題を助長した張本人として批判を浴びる政財界の大物たちが貧困問題などに関する声明を発表する場としてふさわしかったかどうかは疑問だ。

 ブレア英首相やボノ(Bono)、マイクロソフト(Microsoft)のビル・ゲイツ(Bill Gates)会長らは26日、アフリカの貧困問題を議題のトップに掲げることに成功。ゲイツ会長は、妻メリンダ(Melinda)夫人と運営する財団が世界規模の予防接種計画を実施すると発表している。

 写真は26日、ダボス会議に出席したU2のボノ氏。(c)AFP/JOEL SAGET