【香港 27日 AFP】香港の病院が中国本土の妊婦からの予約であふれるなか、香港政府は2月1日から「中国本土の妊娠7か月以上の妊婦は病院の予約がない限り香港への入境を認めない」とする法律を施行する。

 香港ではいま、中国本土の妊婦が子どもの永住権目当てで押し寄せていることが問題となっている。

 法律は、地元住民以外の全員に適用され、特に中国本土からくる妊婦が出産目的で救急室に駆け込むのを防ぐ狙いがある。また香港政府は出産費用未払い問題の防止も図りたい考えだ。地元住民以外の出産費用は約2倍に引き上げ、地元住民の優先を図る。

 香港で生まれた中国本土の子には自動的に香港の永住権が与えられるため、医療、福祉、教育面で有利な香港に、中国本土の妊婦が殺到していた。

■法律施行をひかえ、中国本土からの予約が殺到

 法律施行を1週間後にひかえ、医療当局は中国本土から700件近くの予約が香港の公立病院に入ったことを明らかにした。一部病院は既に予約が一杯なため受付を断っており、なかには3月まで予約が入っている病院もあるという。いまのところ法律施行を前に妊婦が殺到するという気配はないものの、医療当局のBeatrice Cheng氏は今後も香港での出産に対する需要は続くとみており、「2月1日以降も、香港の病院への予約は増えるかもしれない」と語った。

 これまで香港で出産した中国本土の妊婦のうち、85%は予約を取っていない。観光やビジネス目的で中国本土からは毎年数約万人が香港に入境しており、最近では妊婦の入境も急増していた。このためベッド数が不足から香港の妊婦が出産日に入院を断られたり、医師や看護師も不足して十分な処置も行われないなど、地元香港の妊婦から不満の声が上がっていた。
 なお、今回の法律は民間の病院も対象となる。

 医療当局のCheung Wai-lun氏は、地元の妊婦の要望通り、予約体制の監視を強化してベッド数の調整を図る方針を明らかにした。また「今後法律の効果や、本土の妊婦の行動変化など、検証してゆく必要がある」とした上で、新たな法律が香港での出産件数の低下につながればいいとの期待感も示した。

 写真は、香港市内で信号待ちする女性。(c)AFP/Peter PARKS