【ワシントンD.C./米国 24日 AFP】ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領は23日、議会の上下両院合同会議で一般教書演説を行い、北朝鮮核開発停止、タリバン武装勢力の掃討、ミャンマーの民主化支援などに向けた各国との連携を強める方針を明らかにした。

 演説の中で大統領は、東南アジアでのテロ組織解体を例に挙げ、国際的な「テロの脅威」に対する各国の協調を呼びかけた。

 内容はイラク問題や国内の医療保険改革に集中したが、移民規制に関する包括的な法整備についても「真剣な議論が必要である」とした。米国にはアジアからおよそ100万人の不法移民が入国しているとみられており、2006年に不法移民取り締まりの強化を目指した法案が提出された際には、各地で大規模な抗議活動が発生した。

 泥沼の様相を見せるイラク問題と、民主党主導の下院に悩まされるなか、ブッシュ大統領はあらためてアジアに対する大きな関心を示したことも注目される。

 ミャンマーについては、キューバやベラルーシとひとまとめにする形で「引き続き民主化を呼びかけてゆく」と語った。先日、米国は国連安保理においてミャンマー軍事政権に対して政治犯解放を求める修正案を提出したが、中国とロシアが拒否権を行使、否決された。これを受けてスティーブン・ハドリー(Steven Hadley)国家安全保障問題担当大統領補佐官は「中ロ両国が拒否権を行使したことは遺憾であるが、ミャンマーの問題を国際社会に提起することができた。引き続き努力を続けてゆく」と語った。

 北朝鮮核開発問題については、「朝鮮半島の非核化に向けて、中国、日本、ロシア、韓国とともに、外交努力を続けたい」と6か国協議による現状打破の方針を示した。各国は、経済援助や安全保障の見返りに核兵器を放棄するよう北朝鮮と交渉を続けている。

 アフガニスタン情勢については、タリバン(Taliban)武装勢力や国際テロ組織アルカイダ(Al- Qaeda)の掃討に向けた北大西洋条約機構(NATO)軍の治安活動に言及した。ブッシュ大統領は、イラク駐留米軍の増派と並行してテロ組織の捜査員を派遣していることを明らかにし、「我々はアルカイダを潜伏先のアフガニスタンから追放して、イラクに新たな拠点を作らせるようなことはしなかった」とした。

 大統領は、各国に対して「対テロ戦争」における一層の協力強化を訴えた上で、「対テロ戦争における一つ一つの勝利が、テロ組織から望みを奪うことになる」と述べた。

 ブッシュ大統領は東南アジアを対テロ戦争の第2戦線と位置づけ、米国でのテロ活動を目的に訓練を行っていた東南アジアのテロ組織の解体に成功したと発表した。17人が所属していたこの組織の指導者ハンバリ(Hambali)容疑者は2003年8月にタイで逮捕された後、航空機を使用した対米テロを訓練していたことを認めている。

 写真は同日、議会の上下両院合同会議での一般教書演説を前に手を振るブッシュ大統領。(c)AFP/Larry Downing