【シドニー/オーストラリア 23日 AFP】「シュールレアル(超現実的)だった」…。南極の「到達不能極(Pole of Inaccessibility、POI)」に19日に到達した英加合同の南極遠征隊「チームn2i」は、極点で目にした光景についてこのように表現した。一行が極点で発見したのは、旧ソ連の革命指導者ウラジーミル・レーニン(Vladimir Lenin)の胸像だったからだ。

 南極のPOIは南極大陸上で周囲の海岸線から最も離れた内陸の地点(南緯83度6分、東経54度58分)で、到達は南極点よりも困難とされる。遠征隊は7週間かけて19日、POIに徒歩でたどり着いた。しかし到達自体は1958年、旧ソ連の遠征隊が雪上車で達成しており、その際にソ連隊は小規模の野営地を設営していた。

 「チームn2i」のウェブサイト上で発表された報告によると、「GPSがPOIまであと6キロであることを示した時、我々は地平線上に黒い点が見えることに気がついた。近づいていくと、胸像の輪郭が見えてきた」。

 その像は、「旧ソ連隊が残した野営所の煙突の上に、雪面から2メートルほど突き出て立っていた。実物よりも大きなサイズの肩から上の胸像だった。48年前にレーニン像が残されたことは知っていたが、雪に埋もれてせいぜい小山が確認できるくらいだろうとしか思っていなかった。しかし、“彼”はまったく霜を寄せ付けることもなく、あたかも昨日そこに置かれたかのように立っていた」。像はプラスチック複合材の一種でできていると記している。

 「非常に、非常に、シュールレアルな光景だった。しかし自分たちのテントを立てる間、レーニン像に険しい目つきで見下ろされ、設営し終わった時には全員、疲れきっていた」。

 英加遠征隊には、北極レース「スコット・ダン北極チャレンジ2005(2005 Scott Dunn Polar Challenge)」の優勝メンバーである英国のRory Sweet氏、Rupert Longsdon氏、Henry Cookson氏と、カナダからPaul Landry氏が参加した。

 一行は遠征全行程1600キロ以上を、重さ120キロのそりを引きながら、全くの徒歩かカイトスキーを使用して踏破した。遠征報告の詳細は以下のHPで見ることができる。
http://www.teamn2i.com/

 写真は探検隊のメンバー(1月20日撮影)。(c)AFP/TEAMN2I/HO