【シドニー/オーストラリア 15日 AFP】英国五輪委員会(BOA)の事務局長を務めるサイモン・クレッグ(Simon Clegg)氏は、2008年に開催される北京五輪の開幕が近づくにつれ、中国がスポーツ超大国として世界を脅かし始めていると語った。

■中国の台頭に危機感

 シドニーで記者会見を行ったクレッグ氏は「スポーツという観点で見ると我々世界は中国と戦争状態にある。北京五輪の開幕が近づくにつれて中国の周到な準備と大きな期待感は我々を危機に晒し始めていることが明らかになりつつある。」と語りスポーツ界における中国の台頭に危機感を示した。

 またオーストラリア五輪委員会(AOC)と協力協定を締結し2012年のロンドン五輪に向けて英国が2007年、2009年、2011年に開催されるオーストラリアユース五輪フェスティバルに参加することと、オーストラリアの選手の英国国内での競技活動の活発化を発表した後にクレッグ氏は、1月17日から21日まで開催されるオーストラリアユース五輪フェスティバル2007(2007 Australian Youth Olympic Festival)で300人強を選手を派遣する中国について「中国が伝統的に強さを発揮する競技だけでなく、そうでない競技でどれだけレベルを上げているかに注視している。中国は北京五輪、ロンドン五輪だけでなくその先に行われる五輪においても大きな脅威になるだろう。」と記者に語っている。

■世界との差を着実に縮める中国

 2004年のアテネ五輪ではロシアとオーストラリアを抑えて米国に次いで2番目に多くのメダルを獲得している中国は、長年米国が支配してきたメダル最多獲得国の地位を狙っていることを公にしており、これまで中国が弱いとされていた陸上や水泳などで世界との差を着実に縮めてきている。

 また、AOCのジョン・コーツ(John Coates)委員長は、北京五輪ではオーストラリアはメダル獲得数でドイツに逆転され日本と5位の座を争うことになるだろうと語りスポーツ大国からの転落に危機感を強めている。

 写真は、アテネ五輪の男子110メートルハードルで金メダルを獲得し国旗を背に掲げる中国のリュウ・ショウ(Liu Xiang)(2004年8月27日撮影)。(c)AFP/FRANCK FIFE