【ブリュッセル/ベルギー 11日 AFP】安倍晋三首相は11日、ブリュッセル(Brussels)でジョゼ・マヌエル・バローゾ(Jose Manuel Barroso)欧州委員会委員長と会談し、北朝鮮に対し連携して核兵器開発の放棄を迫ることで合意した。

 会談後、安倍首相は記者団に対し、「核ミサイル問題は核拡散防止体制への挑戦であり、問題解決には国際社会の一致団結した努力が必要だ」と述べた。

「バローゾ委員長は支持を表明した。すべての問題について、今後より協力を深めていくことを確認した」(安倍首相)

 日本政府高官筋によれば、バローゾ委員長は会談で、北朝鮮に対し、国連安全保障理事会(UN Security Council)の核実験非難決議に従って経済制裁を適用するため、欧州委員会(European Commission)が必要な手続きを進めていると保証したという。

 安倍首相は欧州4か国を歴訪中。北朝鮮の核問題は今回の歴訪の重要議題となっており、すでにトニー・ブレア(Tony Blair)英首相、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相からそれぞれ支持を取り付けている。

 安倍首相はまた、北朝鮮による拉致問題についても取り上げ、「拉致問題は日本に限った問題ではなく、国際的に重大な問題だ。国際社会の利益のためにも、早期解決が必要だ」と述べた。

 中国に対する武器禁輸措置の解除を欧州連合(EU)が検討していることについては、反対を表明。
「日本の立場として、対中武器禁輸解除に反対する旨を申し上げた。バローゾ委員長には要点を理解していただけたと考えている」と話した。

 また気候変動問題では、温室効果ガスを大量に排出している中国、インド、米国などが、国際的な排出削減枠組みに参加する必要があることで一致。

 エネルギー問題でも、日欧が協力して、とくにロシアに対して安定したエネルギー供給を行うよう要請していくことで合意した。

 安倍首相はヒー・フェルホフスタット(Guy Verhofstadt)ベルギー首相とも会談。国連安保理の非常任理事国としてベルギーが「国連の活動において日本と緊密に協力していく」との確認を得たと語った。

 写真は合同記者会見を行うバローゾ欧州委員会委員長(右)と安倍首相。(c)AFP/JOHN THYS