【北京/中国 9日 AFP】イスラエルのエフド・オルメルト(Ehud Olmert)首相が9日、3日間の公式訪問のため、北京に到着した。中国政府首脳と会談し、貿易関係やイランの核問題やなどを協議する。

 イスラエル政府高官は「今回の中国訪問は、首脳会談の中でも特にイラン問題での局面打開において重要なものとなる」と首相専用機のなかで報道陣らに語った。

 非公式ながら中東で唯一の核保有国のイスラエルに対し、イランのマフムード・アフマディネジャド(Mahmoud Ahmadinejad)大統領が「イスラエルを地図上から消し去るべきだ」などと繰り返し発言するなど、両国は敵対関係にある。

■ イランは中国にとって重要な資源供給国

 一方、経済発展の急成長期にある中国にとって、イランは原油やガスなどの重要な資源供給国である。このことから、オルメルト首相は英国、フランス、ロシア、米国首脳らとの直近の会談とは異なり、中国にはイランにさらに厳しい制裁を科すべきとするイスラエルの主張に同調するとの期待はもっていない。

 匿名のイスラエル政府高官は「数か月以内にイランへの次段階の制裁措置を準備する」とAFP記者に語った。

 また別のイスラエル高官は、オルメルト首相の訪中について「国連の常任理事国である中国の首脳に、パレスチナ、シリア、レバノン、イラン問題など中東におけるイスラエルの立場を説明することは非常に重要だ」と説明した。

 昨年12月23日の国連安保理(UNSC)で、中国はイランへの経済制裁決議に賛成している。同高官は「イランの核保有は中国の利益にもならないはずだ」と語った。

■ 個人としては2回目の訪中

 オルメルト首相の訪中は首相としては初めだが、2年前、黒竜江省ハルビン(Harbin)にある祖父の墓参りに一度訪中したことがある。同首相の両親は1900年初頭に帝政ロシアでのユダヤ人迫害を逃れハルビンに移住しており、オルメルト首相は今回の訪中を、個人的には自身の「ルーツ」への帰郷とも位置づけている。

 中国紙でも、中国の帽子をかぶってインタビューに応じるオルメルト首相の写真を掲載された。インタビューで首相は「両親は中国で育ち、中国の学校に通い、中国語も話せた。中国文化は私の幼少時代の思い出の一部となっている」と語った。

 9日午後、オルメルト首相は薄熙来(Bo Xilai)商務相と会談する。このほか、トップ首脳との会談が後日予定されている。紫禁城や万里の長城も訪れる予定。

 写真は9日、北京に到着し人民軍の歓迎を受けるオルメルト首相(右)。(c)AFP/Frederic J. BROWN