【7月18日 AFP】レバノン南部で17日未明、シリア当局者が自宅で武装した男たちに殺害された。殺害された男性の妻と複数の目撃者が語った。レバノンでこのような事件が起きたのは初めて。

 殺害されたのはシリア政権派の政治評論家、モハマド・ダラル・ジャモ(Mohammad Darrar Jamo)氏(44)。ジャモ氏はレバノンのテレビ番組でしばしばシリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領を擁護していた。 ジャモ氏はレバノンに25年間住んでおり、国際アラブ移民機関(International Organisation for Arab Immigrants)の政治・国際関係部門のトップを務めていた。

 目撃者によると、ジャモ氏はレバノン南部のサラファンド(Sarafand)の自宅に到着した午前2時15分(日本時間同日午前8時15分)ごろに撃たれた。

 ジャモ氏の妻は、ジャモ氏が家の前に車を止め、買い物袋を家の中に運んでいたところ、「しばらく後に銃声が立て続けに聞こえました」「部屋に入ったら夫が血まみれになって倒れていました」「夫は(シリアの政権党)バース党(Baath Party)の友人たちから気をつけるよう電話で(前日16日に)警告されていたのです」と語った。

 ジャモ氏の親戚のモハマド(Mohammed)さんという人物がAFPに語ったところでは、ジャモ氏の自宅前に車が1台止まり、3人の武装した男が家の中に入ったが、近所の人が何もできないうちに激しい銃声が響いたという。 レバノンの治安当局者によると、ジャモ氏は20発以上の銃弾を撃ち込まれていた。父の死に衝撃を受けたジャモ氏の娘(17)は病院に運ばれた。

 シリア国営のシリア・アラブ通信(SANA)はこの事件をテロリストによる射殺と報道。2年4か月に及ぶシリア内戦はレバノンにも波及した。レバノンはアサド支持派と反アサド派とに分裂しており、その亀裂はレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラ(Hezbollah)がシリア政府側について公然とシリア内戦に介入して以来、深まっている。(c)AFP