【9月27日 AFP】シリアの首都ダマスカス(Damascus)の中心部で26日朝、厳重警備の軍司令部が2度にわたる自爆攻撃を受け、警備兵4人が死亡、シリア軍部隊と反体制派戦闘員の銃撃戦で兵士と民間人14人が負傷した。国営テレビが伝えた。

 シリア軍は、「武装したテロリストとその関係者が同日朝、自爆攻撃を行ったが、上級指揮官と将校にけがはなかった」と発表した。

 国営テレビが放送した映像によると、まず本部近くで白い車が爆発し、その約10分後に敷地内で2度目の爆発があった。軍関係者によると、爆発直後の調査ではいずれも自爆犯が運転した車によるものだとみられているという。

 爆発に続き反体制派と軍の間で激しい銃撃戦が起きた。

■自由シリア軍、「軍の将校と協力した」

 反体制派の自由シリア軍(Free Syrian Army)はフェイスブック(Facebook)で、1人のシリア軍将校とその指揮下の部隊と協力してこの攻撃を実施したと発表した。ダマスカスの自由シリア軍軍事評議会の報道官は自動車2台が使われたことを認めたが、自爆犯が運転していたという情報は否定した。自由シリア軍は過去のそのような戦術を取ったことはない。

 この報道官によると、爆発の1~2分後にマシンガンとロケット砲で武装した戦闘員が軍の施設に突入したという。

 シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)も、今回の攻撃にシリア政府側の内部関係者が関わったとしているが、この情報は確認できていない。

■別のグループも犯行声明

 一方、イスラム主義武装グループ「Tajamo Ansar al-Islam」もインターネット上に犯行声明を出し、自爆犯1人を含む5人が死亡したと発表した。このグループは内部関係者の助けを借りて建物の3階に爆弾を仕掛けたとしている。

 イラン国営プレスTV(Press TV)は、この攻撃の取材中に同局のシリア人特派員1人が狙撃されて死亡し、ダマスカス支局長が負傷したと発表した。

 今回の攻撃は治安部隊を狙ったものとしては、ダマスカスの治安指令本部で国防相ら政権幹部4人が死亡した7月18日の自爆攻撃以降では最大の規模となった。前日の25日にはシリア全土で217人が死亡しており、同国の流血の事態は深刻の度を増している。(c)AFP