【4月6日 AFP】前月クーデターが起きたばかりの西アフリカ・マリで5日、北東部ガオ(Gao)にあるアルジェリア領事館がイスラム系武装勢力に襲撃され、外交官7人が誘拐された。同国ではクーデター後、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系武装勢力が勢力を拡大しており、国内に一層の混乱と人道的危機をもたらす懸念が広がっている。

 アルジェリア外務省によると、身元不明の武装集団が領事館を襲撃し、領事と職員6人を連れ去ったという。目撃者がAFPに語ったところによればこの武装集団は、北部のトンブクトゥ(Timbuktu)などを掌握したイスラム系反政府勢力と同じく、厳格なイスラム原理主義を唱える「サラフィスト(Salafist)」の黒い旗を掲げていたという。

 一方、国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は同日、以前から食糧が不足している北部の乾燥地帯で反政府勢力が食糧・医薬品を略奪しており、深刻な人道問題に直面していると警告した。

 マリでは前月22日、アマドゥ・サノゴ(Amadou Sanogo)大尉率いる下級兵士らによるクーデターが発生。2期目の任期を終える目前だったアマドゥ・トゥマニ・トゥーレ(Amadou Toumani Toure)大統領が追放された。「偶発的」との指摘もあるこのクーデターだが、反乱軍の兵士らは、北部のトゥアレグ(Tuareg)人蜂起に対するトゥーレ政権の対応の悪さに問題があったとして行動を正当化している。

 反政府勢力はこの権力不在の状態に付け込み、マリ北部で急速に勢力を拡大。突然のクーデターによる政府転覆から2週間が経過した現在、マリは反政府勢力が支配する北部と、反乱軍が支配する南部とに分断されており、各国は対応策の模索と責任の所在の解明に追われている。(c)AFP/Serge Daniel and Coumba Sylla

【関連記事】
◆トゥアレグ人反政府勢力が世界遺産都市トンブクトゥを掌握
◆マリ反乱軍、国境封鎖と夜間外出禁止を発表
◆マリでクーデター、反乱軍が大統領府占拠 憲法停止表明