【3月12日 AFP】(一部更新、写真追加)アフガニスタン南部のカンダハル(Kandahar)州で11日未明、基地を抜け出した米兵1人が近くの村の複数の民家を襲撃し、16人を射殺した。

 アフガニスタンのハミド・カルザイ(Hamid Karzai)大統領は声明を発表し、犠牲者には女性3人と子供9人が含まれていたことを明らかにした。声明によると脚に負傷した16歳の少年は、暗闇の中、米兵が同州アルコザイ(Alkozai)村の民家に入り込み、家で寝ていた人を起こして銃で撃ったとカルザイ大統領に電話で話したという。

 カルザイ大統領は声明で「許されないことだ」と厳しく非難し、米国に説明を要求した。アフガニスタン政府筋によると、カルザイ大統領はこの事件に激怒しており、調査のため陸軍の参謀を現地に派遣したという。

 欧米の政府筋によると、襲撃した米兵は武器と暗視装置を持って基地を抜け出して犯行に及んだとみられている。アフガニスタン南部を管轄する同国陸軍の司令官は、アフガニスタン国軍(Afghan National Army)が犯行後の米兵を基地の外で捕らえたと述べた。現在アフガニスタンに駐留する北大西洋条約機構(NATO)の国際治安支援部隊(ISAF)がこの兵士の身柄を拘束しているが、犯行の動機などは明らかにされていない。

 米ホワイトハウスは、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領がカルザイ大統領に電話をかけて自身が受けた「衝撃と悲しみ」を伝えるとともに、米政府として徹底的な調査を行い、責任を負うべき者に責任を取らせると述べたと発表した。レオン・パネッタ(Leon Panetta)米国防長官もカルザイ大統領に電話し、徹底的な調査を行うと約束した。

 アフガニスタンの首都カブール(Kabul)北方にあるバグラム米空軍基地(Bagram Airbase)で前月、イスラム教の聖典コーランが燃やされていたのが発覚したことで、米国とアフガニスタンの関係は過去最悪の状態に冷え切っていた。コーラン焼却で反米感情が高まり、基地で働くアフガニスタン人が米兵6人を殺害するなど、これまでに約40人が死亡している。今回の襲撃事件で両国関係はいっそう危機的な状態になった。(c)AFP/Mamoon Durrani