【2月9日 AFP】米国と同盟国8か国は今週、米東海岸で軍艦25隻を動員し、イランを仮想敵国に見立てたとみられる大規模な揚陸演習を実施している。

 この10年、イラクとアフガニスタンでの反政府勢力との地上戦に囚われてきた米軍にとって、「ボールド・アリゲーター(勇敢なワニ)」と称する今回の演習は「米艦隊総軍が指揮する過去10年間で最大の揚陸演習」だと、ジョン・ハービー(John Harvey)米海軍艦隊総軍司令官は述べた。

 演習はバージニア(Virginia)州~ノースカロライナ(North Carolina)州沖の広域で行われ、米軍約2万人の他、英、仏、オランダ軍から数百人、伊、スペイン、ニュージーランド、オーストラリアから連絡将校が、それぞれ参加する。また、米空母1隻の他に仏軍の強襲揚陸艦ミストラル(Mistral)、カナダ軍の掃海挺数隻、航空機数十機が展開する。既に1月30日から演習は開始しており、2月中旬まで続く。

 今回の演習における「Dデー」は6日で、ノースカロライナ州にある米軍基地キャンプ・ルジューン(Camp Lejeune)近くの浜辺へ米海兵隊員がホバークラフトで上陸した。

 2001年以来、米海兵隊は大半の時間をイラクの砂漠やアフガニスタンの山岳地帯で過ごしてきた。この点を念頭に、米軍は目標を「基本的な揚陸能力を復活させ、鍛え、強化し、『海の戦闘員』としての海軍および海兵隊の役割を増強する」としている。
 
 米国防費はここ数年際限なく拡大してきたが、現在は削減へと圧力がかかっており、今回1旅団を参加させている海兵隊も、本来の上陸作戦部隊としての予算の維持に必死だ。

 演習シナリオは、架空の神政国家「ガーネット」に侵略された北側の隣国「アンバーランド」が反撃するために国際支援を求めているという設定。沿岸地域の「トレジャーコースト」が舞台で、港湾には機雷が仕掛けられ、沿岸には対艦ミサイルが配備されているという状況下での上陸を想定している。

 沿岸域の機雷に対艦ミサイル、小型艇配備といえばイラン海軍を想起させるが、ハービー司令官ら演習司令部は、特定の国を想定したシナリオではないと否定している。(c)AFP/Paul Richards

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