【10月3日 AFP】バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領の退陣を求める反体制デモの続くシリアで、軍と離反兵士らとの戦闘が続いていた中部ラスタン(Rastan)を軍が完全掌握したと、英国を拠点とする人権団体「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」が2日、発表した。

 ラスタンは首都ダマスカス(Damascus)の北160キロにあるホムス(Homs)県の町。シリア人権監視団によると、軍は戦車250両を投入し離反兵士らの鎮圧にあたった。軍の砲撃で民間人数十人が死亡し、住宅の庭に埋葬されているとの情報を得ているという。また、2日現在、市内には50両の戦車が展開しているという。

 離反兵士らは9月30日夜、「ラスタンからの撤退」を声明で発表。「アサドのギャングたちの大幅な増強とラスタンで使用された兵器から、自由への闘争をよりうまく遂行するために撤退を決めた」と述べている。

■反体制派の共同戦線「シリア国民評議会」結成

 一方、シリア反体制派は2日、トルコ・イスタンブール(Istanbul)で会見し、アサド政権に反対する全勢力が結集した共同戦線「シリア国民評議会(Syrian National CouncilSNC)」を結成したと発表した。

 議長を務めるパリ(Paris)在住の研究者Burhan Ghalioun氏は、SNCについて「反体制派と平和的革命勢力を再結集する」もので、「国内外でシリア革命を代表する」と説明。「全シリア国民に開かれた、自由への戦いにおいてシリア国民の主権を体現する独立団体だ」と語り、「シリア国民の主権を損なうような外国からのあらゆる干渉を拒否する」と述べた。

 11月初頭にメンバー190人の総会を開催し、所属各勢力を代表する29人強の事務総局を設置する見通し。総会はトルコで開かれる可能性もあるという。

 評議会メンバーによると、事務総局には活動家グループのLocal Coordination Committeesやイスラム原理主義組織のムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)、部族代表、改革派団体「ダマスカス宣言(Damascus Declaration)」、クルド人やキリスト教勢力などの代表が加わるという。(c)AFP