【9月17日 AFP】リビアの反カダフィ勢力の連合体「国民評議会(National Transitional CouncilNTC)」の戦闘員らは16日、同国の最高指導者だったムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐の残されたわずかな拠点であるシルト(Sirte)とバニワリド(Bani Walid)に猛攻撃をかけた。

 戦車の支援を受けたNTC側の戦闘員の縦隊が16日早朝、カダフィ大佐の故郷シルトを急襲した。前日もシルトへの進攻が行われたが、撃退されていた。

 激しい戦闘が空港と市の中心の南東部で発生した。市内に入って対空砲と重機関銃を発射するNTC部隊に対し、カダフィ大佐派の狙撃手やロケット砲が応戦した。

 NTC側の上級司令官は、部隊がシルト中心部に近づいていると述べた。午後遅くのAFP特派員からの報告によると前線は中心部から1キロの距離まで近づいていた。別の前線指揮官によると、9月1日通り(September 1 Street)、市中央部の住宅地、空港周辺で戦闘が起きたという。

 少なくとも200台の国民評議会側のトラックが、狙撃手やロケット砲による散発的な攻撃を受けながら、一帯のカダフィ派戦闘員を一掃すべく、9月1日通りの交差点から重火器を発砲しながら展開して行った。AFPの集計によると戦闘で双方合わせて6人が死亡、35人が負傷した。

 シルトでは1か月ほど停電が続き、住民は市外で何が起きていたのか全く知らなかったという。シルトに住む大学生のアブデル・ムタリ(Abdel al-Mutaly)さんは、トリポリが8月23日に国民評議会の手に落ちたことを16日になるまで知らなかったと話した。

 また、NTCによると、トリポリ(Tripoli)南東部のオアシスの町、バニワリドにも戦闘員が入ったが、狙撃手がいたため、夜には「戦略的撤退」をしたという。

■18日にも新政府の陣容を発表

 国連安全保障理事会(UN Security Council)は、リビアに対する経済的、軍事的制裁を緩和する決議を採択し、暫定統治機関を支援するための国連ミッションを立ち上げた。しかし、カダフィ大佐とその家族、およびカダフィ大佐関係者への制裁は維持される。

 あるNTC幹部は、NTCは18日に約30人からなる新政府の陣容を発表すると述べた。全ての政治グループや地域の代表が含まれ、女性もいるという。

 これに先立ち国連総会は、NTCに国連での代表権を認める決議を採択していた。これにより、NTCのムスタファ・アブドルジャリル(Mustafa Abdel Jalil)議長が、来週ニューヨーク(New York)で始まる国連総会の一般討論演説に出席することが可能となった。

 これに合わせてアブドルジャリル議長は、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領や主要指導者と会談する予定になっている。(c)AFP/Dominique Soguel