【6月1日 AFP】反体制デモの続くイエメンの首都サヌア(Sanaa)で5月31日、政府の治安部隊と反体制部族勢力が衝突した。一方、第2の都市タイズ(Taez)では、治安部隊がデモ隊に発砲し、デモ参加者7人が死亡した。

 サヌアでは31日の夜明け前、アリ・アブドラ・サレハ(Ali Abdullah Saleh)大統領の治安部隊と、イエメン最有力部族ハシドの長、サーディク・アフマル(Sadiq al-Ahmar)師の勢力が衝突した。目撃者によると、サヌア北部のハシドの施設からは黒煙が上がった。また、武装警察本部や国営サバ通信(Saba)建物の周辺、市の大通りなどでは両勢力の激しい交戦があった。

 アフマル師は27日、4日間の激しい戦闘の後、停戦を発表したが、サレハ政権は、アフマル師の戦闘員がこれを破ったと非難している。

■第2の都市で治安部隊がデモ隊に発砲、7人死亡

 また、サヌア南部のタイズでは31日、治安部隊がデモ隊に発砲し、デモ参加者7人が死亡した。目撃者によると、うち5人はタイズ中心部で死亡。2人は市内に入ろうとしたところ、警官隊と衝突して死亡した。目撃者によると、治安部隊は市内での集会開催を阻止しようとしており、集会を開こうとする者に発砲しているという。

 欧州連合(EU)のキャサリン・アシュトン(Catherine Ashton)外交安全保障担当上級代表は、タイズで起きた治安部隊によるデモ隊への実弾の使用に「衝撃を受けた」と述べた。国連(UN)によれば、タイズでは29日以降すでに50人以上が死亡した。

 1978年から政権の座にあるサレハ大統領の退陣を求める抗議デモは、1月以降続いている。国際社会も退陣を求めているが、サレハ氏は退陣の姿勢を示していない。

 アラブ首長国連邦(UAE)など中東6か国で構成される湾岸協力会議(Gulf Cooperation CouncilGCC)が仲裁に入り、サレハ大統領は、起訴免除を条件に30日以内に退陣すると一時は約束した。だが、サレハ氏が次々に新たな条件をつけて、調停案への署名を拒否したため、GCCは調停を一時中止している。(c)AFP/Hammoud Mounassar

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