【5月6日 AFP】シリア政府は5日、南部の反体制派の拠点、ダルアー(Daraa)を10日間封鎖してきた軍を撤退させ、反体制派が「抵抗の日」と名付けた大規模なデモを計画している地中海沿岸のバニアス(Banias)に移動させた。

 ある反体制活動家はAFPの電話取材に対し、戦車や装甲車、増援部隊が、反体制派の別の拠点であるバニアスの近郊に配備されつつあるのを目撃したと語った。

 国内各地で7週間続く民主化要求デモの発火点となったダルアーからの現地報告によると、午前10時(日本時間5日午後4時)ごろから、約350人の兵員がバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領の肖像画を車体にはった兵員輸送車や軍用トラックで撤退を開始した。

 6日朝、市内には久しぶりに外出する住民たちの姿が見られた。ある女性は、「屋根にはスナイパーが隠れていたし、銃弾も飛び交っていた。家から一歩も出られなかった」と話した。

 軍の政治部門を統括するリアド・ハッダード(Riad Haddad)将軍は、「ダルアーでの任務が終了したため撤退した」と説明した。ダルアーで前月25日から行われた武力弾圧で数十人が死亡したとされる点については、「民衆に銃を向けたことは一度もない。今後も複数の場所に隠れているテロリストの捜索を続ける」と述べ、逆に「(ダルアーで)兵士25人が死亡し、177人が負傷した」と主張した。

 一方、軍は5日、首都ダマスカス(Damascus)郊外のサクバ(Saqba)で一斉に家宅捜索し、300人を逮捕した。(c)AFP/Rana Moussaoui and Sammy Ketz