【3月21日 AFP】仏英米の多国籍軍は20日、リビアの最高指導者ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐の政府軍による市民攻撃の阻止を認めた国連安全保障理事会(UN Security Council)の決議をうけ、首都トリポリ(Tripoli)への空爆を行った。

 イタリアの空軍基地から飛び立った多国籍軍の戦闘機がトリポリを空爆。カダフィ軍側は地上から高射砲で応戦した。

 その一方で、カダフィ軍は同日、即時停戦を求めたアフリカ連合(African UnionAU)首脳国会議の要請を考慮し、停戦を受け入れると表明した。

 これに対し、潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)国連事務総長は、リビアの隣国エジプトの首都カイロ(Cairo)で記者会見し、すでに18日に停戦を表明しているカダフィ政権に、言葉どおり市民への攻撃を停止するよう求めた。また、カダフィ側の停戦申し入れについては、依然として市民攻撃が続いていることから検証と見極めが必要だと語った。

 カダフィ政権は18日、国連が飛行禁止空域の設定を含め、カダフィ軍による市民攻撃を阻止するための、あらゆる手段を容認する安保理決議1973を採択したことをうけ、停戦受け入れを表明した。だがカダフィ軍は、その後も反体制派が拠点とするベンガジ(Benghazi)への攻撃を続けたため、仏英米は19日、安保理決議の範囲内でカダフィ軍への攻撃を開始した。

 ベンガジの医療関係者によると、カダフィ軍の攻撃による反政府勢力および民間人の死者は、18、19両日で85人に上った。一方、AFP記者は現地の病院でカダフィ軍兵士9人の遺体を確認した。(c)AFP/Imed Lamloum

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