【1月27日 AFP】英国放送協会(BBC)が、イスラエル軍による攻撃で大きな被害をうけたパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)市民への義援金運動の放送を拒否した問題で、英スカイニューズ(Sky News)テレビは26日、放送の客観性が阻害されるとしてBBCに同調する姿勢を示した。

 問題となっているのは、英国赤十字(British Red Cross)、オックスファム(Oxfam)など13の非政府組織が参加する慈善団体「緊急災害委員会(Disasters Emergency CommitteeDEC)」がガザ市民への義援金を募るために作成した映像。ガザの子どもたちの惨状をうつした映像とともに「紛争の善悪が問題なのではありません。ただ、彼らにはあなたの支援が必要なのです」とナレーションが伝える。

 この映像について、24時間のニュース専門チャンネルとして英国内では唯一BBCと競合するスカイニューズの経営トップ、ジョン・ライリー(John Ryley)氏は、「ガザでは依然として予断を許さない情勢が続くなか、現時点でガザへの支援要請活動を放映することは、公平で客観的な報道を提供するというニュース・チャンネルとしての役割と矛盾する」との声明を発表し、DECの映像を放映しない方針を示した。

 BBCには、英国国教会の最高指導者、ローワン・ウィリアムズ(Rowan Williams)カンタベリー大主教(Archbishop of Canterbury)やゴードン・ブラウン(Gordon Brown)政権の閣僚に加え、1万1000人を超える視聴者や議員100人以上が、DECの映像の放映拒否を撤回するよう求めている。

 しかし、BBCのマーク・トンプソン(Mark Thompson)会長はラジオ放送を通じ、「ガザの悲惨な現状を報じるニュース映像に続いて、同様の映像を用いた義援金要請が放映されれば、中東問題におけるBBCの視点は一方的だとの印象を視聴者に与えかねない」と説明し、決定を撤回する考えはないとした。

 一方、DECの経営責任者、ブレンダン・ゴームリー(Brendan Gormley)氏は、「ガザ問題の政治的解決はわれわれの仕事ではない。われわれは多くの罪のない市民が戦闘に巻き込まれ、助けを求めているという現状を憂慮している」と訴え、同団体が政治とは無関係な立場であることを強調している。

 公共放送のBBCを除いたITV、チャンネル4(Channel 4)、チャンネル・ファイブ(Channel Five)の主要地上波放送3局は、DECの義援要請を放映している。(c)AFP