【10月22日 AFP】旧支配勢力のイスラム原理主義組織タリバン(Taliban)の攻撃を受け、死体が転がる溝の中に潜んで逃げ延びた17歳の少年が20日、AFP記者に対し、その時の様子を語った。

 手足と腹部に4発の銃弾を受け、現在ヘルマンド(Helmand)州ゲレシュク(Gereshk)の病院で治療を受けているこの少年は、前週17日に同国南部でヘラート(Herat)行きのバスに乗った。バスには約40人の乗客がいた。

 やがてバスは、機関銃で武装したタリバンの複数の戦闘員に乗っ取られた。このバスに乗っているのは治安部隊の新兵で仕事を求めてイランへ向かう途中だ、というのが彼らの主張だった。

 戦闘員らは乗客全員に降りるよう指示し、1人ずつチェックした。大半は解放されたが、残された27人は幾つかの小さなグループに分けられた。少年のグループは計6人だった。

 戦闘員らは6人に溝の中にひざまずくよう指示したあと、一斉に射撃。5人は死亡したが、少年だけは4発の銃弾を受けたものの生き延びた。彼はそれらの死体の間で一晩過ごし翌日になって溝を出ると道路をはって進み、アフガニスタン国軍に事件のことを報告した。その後は傷の手当てのために病院に運ばれたのだという。

 ヘルマンド州の警察は、現場で、これまでに少なくとも11遺体を発見した。残りの遺体については捜索中という。

 タリバンは19日、バスに乗っていた「治安部隊員」27人を殺害したとの声明を出したが、政府は殺害された乗客が治安部隊員であったという事実はないとしている。(c)AFP