【7月25日 AFP】(26日 一部更新)スーダンのオマル・バシル(Omar al-Beshir)大統領は24日、同国西部ダルフール(Darfur)地方の中央政府統治下にある3州の州都歴訪を、2日間の日程で終えた。厳戒態勢のとられた3都歴訪中、大統領は「平和主義者」として振る舞い、ダルフール地方におけるジェノサイド(民族大量虐殺)を指示したとの内外の非難を否定した。

 歴訪最終日、西ダルフール(West Darfur)州の州都エル・ジェニーナ(El Geneina)で集会に出席したバシル大統領は、サファリスーツに身を包み、サングラスや大きな指輪を着けて舞台に登場。愛国的な音楽に合わせて杖(つえ)を打ち鳴らしながら、踊りを披露するなどした。会場に集まった数千人の群衆は炎天下、顔をあおぎながら、その様子を見守った。

 ダルフール紛争の外交による解決を目指す国際社会の努力が行き詰まりをみせているにもかかわらず、バシル大統領は「平和主義」のイメージをアピールした。「われわれは誰一人として――部族指導者、政治家、和平合意の署名者、非署名者ですら――(和平から)排除しない」と大統領は暑さにうだる群衆に演説し、和平に率先して取り組む姿勢を強調した。

 オランダ・ハーグ(Hague)の国際刑事裁判所(International Criminal CourtICC)主任検察官は、ダルフール紛争における大量虐殺と「人道に対する罪」、戦争犯罪の容疑でバシル大統領の逮捕状を請求している。

 一方、スーダンのマルアル(Bona Malual)大統領顧問は25日、「バシル大統領の起訴状が提出されれば、われわれはダルフール地方の外国部隊の安全を保障できない。領内からの撤退を要請するかもしれない」と述べ、大統領が訴追された場合、平和維持部隊を国外退去させる可能性を示唆した。エチオピアの首都アディスアベバ(Addis Ababa)で記者団に対し語った。(c)AFP/Abdelmoniem Abu Edries Ali