【6月12日 AFP】パキスタンは11日、アフガニスタンとの国境で米軍主導の多国籍軍による「卑劣な」空爆でパキスタン兵士11人が死亡したと発表、これによりテロとの戦いにおける協力関係が弱体化する恐れがあると警告した。

 パキスタン軍は、アフガニスタンに駐留する米軍主導の多国籍軍が、パキスタン領内の部族地帯にある軍事拠点に対し不当な攻撃を行ったと非難。外務当局は即時調査を行うよう求めた。

 一方、多国籍軍はアフガニスタンの首都カブール(Kabul)で、パキスタン領内で空爆を行ったことを認めたものの、パキスタンの民兵組織の前哨拠点付近から攻撃してきた武装集団を狙ったものだとしている。

 米国とアフガニスタン両政府は、パキスタン政府が部族地域に潜伏する旧支配勢力タリバン(Taliban)と交渉を進めようとしていることに不安感を示している。

 今回の件についてパキスタン軍は異例の緊急声明を発表し「まったく不当かつ卑劣なこの行為を非難する」とし、将校1人を含む兵士11人が死亡したことを確認した。

 米軍主導の多国籍軍は、パキスタン兵の死に関連するパキスタン政府の主張には特に言及せず、調査が行われているとのみ発表した。

 多国籍軍の声明によると、同軍はアフガニスタン東部クナル(Kunar)州で作戦実行中に、パキスタン領内のGora Prai検問所付近の森林地帯から武装集団の攻撃を受けたため、パキスタン軍に対しその旨を連絡する一方、無人偵察機により武装集団を確認し、「自衛」のため「危険が排除されるまで」迫撃弾や空からの支援を受け攻撃を行ったとしている。(c)AFP/Saad Khan