【6月9日 AFP】キューバのグアンタナモ(Guantanamo)湾米海軍基地のテロ容疑者収容施設で、尋問官らが尋問の様子を記した手書きメモを破棄するよう指示されていたと、収容者の弁護を担当する米軍少佐が8日明らかにした。

 特別軍事法廷で、同施設に収容されているカナダ国籍のオマール・カードル(Omar Khadr)被告(21)の弁護を担当するビル・キューブラー(Bill Kuebler)米海軍少佐は、報道陣に宛てた文書のなかで、尋問メモ破棄の指示は国防総省が作戦規定(SOP)の一部としてグアンタナモの尋問官に伝達されたものだという情報を前週、検察側から入手したと述べた。

 キューブラー氏は、尋問メモが殺人罪に問われている被告側にとって非常に重要な証拠品であることを強調。さらに、尋問官らが指令を実行していたとすると、グアンタナモでは特別法廷で収容者に有利となる証拠の隠滅作業が日常的に行われていたこととなると主張する。

「メモの破棄が事実なら、カードル被告の自白の信用性を覆す鍵となる証拠を、米政府が意図的に弁護側から奪ったことになる」(キューブラー少佐)

 指令文書には「保存する尋問に関する文書の数を極力少なくすることで法的な問題を最小限にとどめることができる」と記されているほか、「この任務には法的および政治的な問題があり、場合によっては尋問官を召喚し審問を行うこともありうる」との一文が付け加えられているという。

 グアンタナモ収容者で最年少のカードル被告は、15歳だった2002年に手投げ弾で米兵を死亡させたとしてアフガニスタンで拘束され、殺人、殺人未遂、共謀、テロほう助の容疑で起訴されている。(c)AFP