【5月10日 AFP】レバノンの首都ベイルート(Beirut)を中心に続く、新欧米・反シリアの政府と親シリアの野党勢力の支持者の武力衝突による死者は18人に増えた。10日、治安当局がAFPに明らかにした。野党勢力が制圧したベイルート西部は不安定ながら沈静化している。

 ベイルートでは欧米が支援する政府の支持者と、イラン・シリアが支援するイスラム教シーア派組織ヒズボラ(Hezbollah)支持者との激しい銃撃戦が続いたが、10日、住民は外出を始め、商業活動も再開した。ヒズボラ派の民兵組織は9日、イスラム教スンニ(Sunni)派が多数を占めるベイルート西部を制圧した。

 治安当局によると、ベイルート東部山間部のアレー(Aley)で9-10日、イスラム教ドルーズ(Druze)派野党と政府の支持者の銃撃戦で2人が死亡。南部の港湾都市サイダ(Sayda)、ベカー高原(Bekaa Valley)では女性2人が死亡し、サイダでは女性の夫も死亡するなど9日、各地の戦闘で5人が死亡した。

 ベイルートで起きた各派の武力衝突は1975-1990年の内戦以来の規模で、11人が死亡。西部はヒズボラの支配下にある。8日以来ほとんど人通りが無かったベイルート市内だが、10日には車の通行量が戻ってきた。通りでは清掃作業員ががれきを撤去する姿が見られ、薬きょうが散乱する地域もあった。

 軍は完全警戒態勢を解いておらず、市内の一部では道路封鎖が続いている。(c)AFP