【5月4日 AFP】イラク駐留米軍は3日、イラクのバグダッドのシーア(Shiite)派の拠点サドルシティ(Sadr City)を空爆し、武装勢力14人を殺害したと発表した。

 米軍の広報官はAFPに「我々は今朝サドルシティへの攻撃を実施したことを確認できる。現在、攻撃の評価を行っている」と語った。米軍は「犯罪分子の司令部とコントロールセンター」を午前10時(日本時間午後4時)ごろ破壊したと発表した。

 しかし、目撃者と現場にいたAFP記者は、現地で中心的なアルサドル病院(Al-Sadr Hospital)が激しく破壊され、救急車も破壊されたと語った。病院のすぐそばには攻撃の目標だったとみられる小屋の残がいが積みあがっていた。地元住民によればこの小屋はイスラム教の巡礼者が移動時の中継地点として使っていたという。

 病院職員によれはこの空爆で少なくとも20人が負傷し、破壊された病院に運び込まれた。病院のガラス窓は粉々に破壊され、医療機器や電気設備も損傷を受けた。廊下にはガラスの破片や、ねじれた金属、切れて垂れ下がった電線が散乱し、建物内部の仕切りも崩壊した。爆発に備えるための防護壁も壊れ、崩れ落ちた大きなコンクリートブロックが駐車場に停まっていた車を破壊した。救急車17台も破壊され、救急隊が出動できない状態だという。

 医療関係者は病院が攻撃されたことに怒りをあらわにしている。

 バグダッドの医療部門トップのAli Bistan氏は「彼ら(アメリカ人)は(攻撃したのは)武器の貯蔵庫だったと言うだろう。しかし、本当のところ彼らはイラクの社会基盤を破壊したいのだ」と述べ、アルサドル病院が米軍と武装勢力の間の衝突が激化している地区にあることから、この攻撃は医師や医療関係者がこの病院に行けなくなるように行なったものだとして米軍を非難した。(c)AFP/Jacques Charmelot