【12月19日 AFP】米国防総省は18日、米軍はイラクにおいて過去3か月で「著しい治安改善」を実現したが、最終的な撤退の鍵となるイラクの国民和解については依然、見通しがつかないとする報告書を発表した。

 報告書では、イランのマフムード・アフマディネジャド(Mahmoud Ahmadinejad)大統領が再度、取り締りを誓約したにもかかわらず、依然としてイランによるイラクのシーア派反政府組織などへの武器供与が行われているとも指摘された。

 報告書は「(イラクの)治安改善は格段に進みつつあり、これが維持されれば継続的な安定状態につながるだろう」と評価。一方で「改善した状態を維持し、イラク国内での『上から』の国民和解を進めるにはさらなる課題がある。長期的安定には国民和解が必要だが依然として歩みは遅く、利害関係の対立によって阻まれている」と分析した。

 報告書によると今年3月以降、自動車爆弾による攻撃などイラク国内の襲撃事件の発生件数は62%減少。週間統計では、6月末には平均1600件あった事件数が9月末には約900件まで減り、10月中旬には600件前後で推移しているという。

 国防総省ではこうした進展を、2007年初頭の米軍増派による成果だと強調。同時に、イラク治安部隊の戦闘能力強化や、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系勢力に対する掃討作戦にイスラム教スンニ派部族の動員をかけた米国の方針が功を奏したと説明する。しかし、継続的な治安改善と国民和解は、議会運営に基づいたイラク政府の政治的・経済的目標達成にかかっていると釘を刺した。

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