【12月16日 AFP】(12月17日 写真追加)イラク駐留英軍は16日、同州南部バスラ(Basra)州の治安権限をイラク政府に正式に移譲した。これに伴い英軍は駐留兵約5000人の大幅削減を目指す。

 同州知事とバスラ駐留英軍最高司令官が治安権限移譲の覚書に調印した。移譲式典でムワファク・ルバイエ(Muwaffaq al-Rubaie)国家安全保障顧問は「権限移譲はイラクの勝利、そして敵側の敗北を意味する」と語った。

 多国籍軍からの治安権限移譲は全18州中9州目で、英軍にとっては4州目、2003年のイラク進攻以来同軍が管理していた最後の州となった。

 英国のデービッド・ミリバンド(David Miliband)外相はこれを「大きな前進」とし、「我々の目的は、すべてのイラク人のためにイラク人が統治するイラクを実現することだ」と語った。

 バスラ入り当初、英軍は解放者として迎えられたが、その後同地で多数派を占めるシーア派の支持を獲得できず、英軍の撤退に際しても地元住民から惜しむ声はほとんど聞かれなかった。

 英国放送協会(BBC)による最近の調査では、回答者の86%が英軍の存在を否定的にとらえており、肯定的にとらえていたのは2%に過ぎなかった。

 今回の権限移譲は今月9日にゴードン・ブラウン(Gordon Brown)首相が予告なしにバスラを訪問したことで加速した。

 英国のブラウン首相は10月、バスラの治安権限の移譲に伴いイラク南部に5000人以上が駐留する英軍を2008年の早い時期に半減すると明言した。

 移譲に伴い英軍はイラン国境の警備などの特殊な活動の支援を行う。

 しかし石油資源が豊富なこの地域でイラク治安部隊が宗派間対立を抑えられるかは不透明だ。イラクの石油の7割はバスラで産出され、同国から輸出される原油の8割は同地を経由している。(c)AFP/Karim Jamil