【10月12日 AFP】ドイツ人技師とともに3か月間にわたりイスラム原理主義勢力タリバン(Taliban)に拉致され、10日解放されたアフガニスタン人の男性が11日、匿名を条件にAFPの取材に応じ、拉致時に警察官によってタリバン側に身柄を引き渡されたと証言した。

 男性はカブール(Kabul)近郊のワルダク(Wardak)州でタリバンに拉致された際には「生きて帰れる見込みはないものと絶望していた」と当時の心境を語った。この男性は7月18日に拉致された7人のうちのドイツ人1人が拉致直後に射殺された場面にも立ち会ったという。

 証言によると拉致事件発生当日、タリバン兵らは男性たちがダムの修復作業のためワルダク入りし作業を開始する前に接近。男性は同行していた警察官たちにタリバン兵の接近を伝えたが、警察官たちは何も行動を起こさなかったという。

 さらに、男性がライフルを手にすると警官の1人にたたかれ「タリバン兵は50人から100人はいる。なぜそんなことをする」と言われたという。

 実際にはタリバン兵は数名しかおらず、ドイツ人2人とアフガニスタン人6人は、警官立ち会いのもと、タリバン側に身柄を引き渡された。この際、アフガニスタン人1人は自力で逃亡した。

 男性は「この国の警察は国民であるわれわれをタリバンに引き渡した。どうして国と警察を信用できるだろうか」と語った。

 アフガニスタン人グループとともに拉致されたドイツ人技師のRudolf Blechschmidtさん(62)は、収監されていたタリバンのメンバーと引き換えに解放され、11日早朝、アフガニスタンを空路で出国している。(c)AFP