【8月29日 AFP】(一部更新、写真追加)アフガニスタンで29日、イスラム原理主義勢力タリバン(Taliban)に拘束されていた韓国人人質19人のうち女性3人の身柄が、解放交渉を仲介してきた現地の部族長老に引き渡された後、赤十字国際委員会(International Committee of the Red CrossICRC)に保護された。同委員会が明らかにした。6週間に及んだ韓国人拘束事件に解決の兆しが見えてきた。

 韓国外交通商省のチョ・ヒヨン(Cho Hee-Yong)広報官も人質解放を確認したと発表した。解放されたのはアン・ヘジン(Ahn Hye-Jin)さん(31)、イ・ジョンラン(Lee Jeung-Ran)さん(33)、ハン・ジヨン(Han Ji-Young)さん(34)の3人で、まもなく現地の韓国当局へ赤十字から身柄が引き渡されるとしている。

 女性3人の身柄は最初、拘束事件の舞台となっていたガズニ(Ghazni)州の同市郊外で部族の長老らに引き渡され、さらに赤十字が車両で出迎え、市内まで移送した。3人はイスラム教の女性が伝統的にまとっているスカーフを頭からかぶり、泣いている様子だったという。仲介役となった長老、Haji Mohammad Zahir氏によると全員、健康状態は良好だが疲れをみせているという。3人のうち1人は電話で両親に消息を伝えた。

 タリバンと韓国側の人質解放交渉は前日、急展開を見せ、タリバン側が人質全員の解放を発表した。韓国側が、アフガニスタンに駐留している韓国軍の年内撤退、および韓国のキリスト教布教グループのアフガニスタン入国禁止を確約し、両者合意に至った。

 タリバンおよび仲介者によると、29日遅くには人質グループの第2陣が解放される予定。19人は複数の州に分散して拘束されていたため、全員の解放には数日かかるとしている。

 交渉成立の報は韓国の関係者を一様に安堵(あんど)させた。家族らはアフガニスタン南部で拘束事件が発生して以来、片時も離れずテレビで情報を追い、人質の無事を祈ってきた。

 息子と娘を拘束されていた男性(57)は「すぐにでも彼らを抱きしめたい」と喜びをあらわにし、「タリバンもわれわれと同じく家族を持つ人間。タリバンがいつかは子どもたちを返してくれることを、一時も疑わなかった」と述べた。(c)AFP/Mohammad Yaqob