【7月4日 AFP】 イスラマバード(Islamabad)で前日、パキスタンの治安部隊と衝突し、武装して学校内のモスクに立てこもっていたイスラム原理主義勢力タリバン(Taliban)寄りの急進派「赤いモスク(Red Mosque)」の神学生ら700人以上が4日、投降した。しかし依然、強硬派の学生約1000人が残り、立てこもりを続けている。
 
 同日、外出禁止令の出た同神学校の周辺を武装した兵員輸送装甲車が包囲し、車両からは兵士らがモスクに対する銃撃をいっそう強化した。早朝に男子学生1人、また精神疾患を持つとみられる男性が1人、殺害された。前日の衝突では16人が死亡している。

 投降した学生らは、一人一人、金属探知機をくぐらされた。女性はアフガニスタンの旧タリバン政権が着用を強制した全身を覆うベール「ブルカ」をまとい、男性はイスラムの慣習に従ったあごひげを生やしていた。これまでにパキスタン政府はいったん示した投降期限を2回、延長していた。

 同神学校は前月、売春斡旋のうわさのあった鍼灸(しんきゅう)院から従業員の中国人7人を拉致するなど、過去6か月にわたり、ペルベズ・ムシャラフ(Pervez Musharraf)政権に対する抵抗を続けており、前日の男子学生らと治安部隊との衝突で事態は多数の死者を出すまでに至った。

 パキスタン政府高官のChaudhry Mohammad Ali氏は、「約700人が投降し、さらに出てくる様子だ。投降した者には帰宅手段を提供している」と述べている。また同高官は、投降した者1人につき5000ルピー(約1万円)を支給するとも発表した。

 治安部隊では建物内に約1000人の神学生が残留しており、うち約半数が女性だとみている。4日夜も引き続き、立てこもりが続く可能性があるとしている。同部隊高官は、「女子学生の大半と男子学生のあと300人が投降し、中に残るのは強硬派の学生だけになるとみている。(学生のうち)戦闘的な部分は2、300人だと推測している」と述べた。

 立てこもりを続ける者たちの中には、アフガニスタンとの国境地帯の氏族出身のタリバン戦闘員や、パキスタンで非合法化されているイスラム教の宗派に属する「聖戦士」らが含まれているとみられる。(c)Masroor Gilani and Sami Zubeiri