【6月25日 AFP】アフガニスタンに駐留する北大西洋条約機構(NATO)主導部隊は24日、パキスタンでも民間人に死傷者が出ていたことを認めた。

 同部隊の広報によると、NATO主導の国際治安支援部隊(ISAF)の戦闘機が、武装勢力を追跡中にパキスタンの建物を破壊した。ISAFはアフガニスタンとの国境近くにある武装勢力の基地を攻撃するところだったという。

 パキスタン軍が同日明らかにしたところでは、死者は10人、負傷者は14人に上り、うち7人は重傷。犠牲者は男性7人のほか、子どもや女性もいたという。ロケット弾で建物が破壊さいれたこの攻撃について、パキスタン政府は抗議するとともに、説明を要求している。

 一方のISAF側は、「民間人が多数いたとみられる建物に武器の1つが当たった。この建物は住宅か駅、あるいは宿泊施設だった可能性があるとの報告を受けている」と説明、「罪のない人たちの命が失われたことを遺憾に思う」と語った。

 この説明に先立ちISAFは、南東部のパクティカ(Paktika)州とパキスタンの北ワジリスタン(North Waziristan)州をまたぐ国境地帯で武装勢力の掃討作戦を行い、60人を殺害したと発表していた。

 アフガニスタンのカルザイ大統領は23日、民間人に死傷者が出ていることを受け、ISAFおよび米軍主体の多国籍軍による武装勢力掃討作戦は「無差別で正確性に欠ける」と非難。何年も前から繰り返し抗議してきたにもかかわらず、「武力の濫用、アフガン軍との連携欠如」があると指摘していた。

 これについてNATOのNicholas Lunt報道官は、同大統領の怒りに理解を示しながらも、「ISAFには民間人殺害の意図はないことをはっきりさせておきたい。だが、タリバンは、故意に民間人を殺害している」と強調した。(c)AFP