【6月16日 AFP】ガザ地区(Gaza Strip)でのイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)との激しい武力闘争がもたらしたパレスチナ自治区の内部分裂修復に向け、自治政府のマフムード・アッバス(Mahmud Abbas)議長が16日、新内閣を発足させる。

 欧米の強い支持を受けるアッバス議長は15日、非常事態内閣の首相に独立系の前財務相、サラーム・ファイヤド(Salam Fayyad)氏を任命した。ファイヤド氏を起用することで、ハマスが権力を握った2006年1月以来停止している、欧米からの援助の再開を実現させたい意向がある。ただし、ファイヤド氏の統治は、ヨルダン川西岸地区(West Bank)に限られる模様だ。

 一方で、解任されたハマスのイスマイル・ハニヤ(Ismail Haniya)前首相は、従来どおり自治政府の運営を続ける意向を示している。

 イスラエル高官は、新政府がイスラエルの生存権を認め、暴力を放棄し、これまでに結んだ協定に従うならば、パレスチナとの関係を正常化したいとの意向を示した。

 ガザ地区では15日、覆面をかぶったハマスの戦闘員や緑色のバンダナを巻いた支持者らが同地区の制圧を祝った。一連の動きにより、パレスチナ人は事実上、ガザ地区とヨルダン川西岸の2つに分断された。アッバス議長はハマスの行動を「軍事クーデター」と位置づけている。流血の惨事となった激しい戦闘により、パレスチナ国家樹立という目標は益々遠ざかり、わずか1週間で110人以上が犠牲となった。
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