【12月23日 AFP】2009年の女子テニスは、復調したセレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)が世界ランキング1位に返り咲き、マリア・シャラポワ(Maria Sharapova、ロシア)が肩の負傷から戦列に戻ったが、現役復帰したキム・クライシュテルス(Kim Clijsters、ベルギー)の全米オープンテニス(The US Open Tennis Championships 2009)優勝を抜きに語ることはできない。

 2007年5月に現役引退を表明し、結婚して1児の母となったクライシュテルスは、3月に現役復帰を発表した当時は昔のフォームを取り戻すことはできないという意見が多かったが、唯一の4大大会(グランドスラム)優勝を飾った2005年大会に続き、2度目の全米オープン制覇を果たした。

 4回戦でヴィーナス・ウィリアムス(Venus Williams、米国)を、大会ベストゲームとなった準決勝でセレーナを破るなど、ウィリアムス姉妹を倒してのクライシュテルスの優勝は大きな注目を集めた。

 優勝後に愛娘のジャダ(Jada)ちゃん、夫のブライアン・リンチ(Brian Lynch)とともに喜びを分かち合う姿に観客は大歓声を送り、クライシュテルスは現代のテニス選手で最も人気のある選手の1人という地位を確立した。

 現在クライシュテルスは、1月にメルボルン(Melbourne)で開催される全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2010)に向けてハードなトレーニングを行っている。オーストラリアでクライシュテルスは、同国の男子テニスプレーヤー、レイトン・ヒューイット(Lleyton Hewitt)と長年交際していたことから、「オージー・キム(Aussie Kim)」と呼ばれ親しまれている。

■セレーナが世界ランク1位でシーズンを終える

 人気を集めたのはクライシュテルスだったが、世界ナンバー1が誰かという議論に終止符を打ったのは、全豪オープンとウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2009)でグランドスラム2勝を挙げ、シーズン最終戦のソニー・エリクソン・チャンピオンシップ(Sony Ericsson Championships - Doha 2009)でも優勝したセレーナだった。

 2009シーズンの世界ランキングは、グランドスラム以外での安定した成績によりディナラ・サフィナ(Dinara Safina、ロシア)が長く1位の座に君臨したが、サフィナがその栄誉に値するとの評価は少なく、ドーハ(Doha)で開催されたシーズン最終戦でサフィナは腰の負傷によりわずか13分で途中棄権し、セレーナに1位の座を明け渡した。

 自身のランキング1位に対する疑問の声に対しサフィナは「もう何も気にしていない。言いたいことを言えばいい」とコメントしている。

 サフィナとは対照的にグランドスラムで輝かしい成績を残したセレーナだったが、クライシュテルスとの全米オープン準決勝ではフットフォルト(サーブ時にコートに足が入ったり、ベースラインを踏む反則)を取られて線審に暴言を吐いて罰金を科され、大きく評価を落とした。

 女子テニス界で最も注目を集めるシャラポワは、肩の負傷の回復が遅れて戦列を9か月離れ、復帰後は小さなトーナメントでも勝つことができず自信を失い、一時は引退も懸念された。

 最高の状態には戻れないままシーズンを終えたシャラポワだが、終盤のロジャーズ・カップ(Rogers Cup 2009)で決勝に進み、東レ・パンパシフィック・オープン(Toray Pan Pacific Open 2009)で優勝するなど、肩が完治すればチャンスがあることを十分に示した。

■エナンが現役復帰するも、モウレズモが引退

 全仏オープンテニス2009(French Open 2009)は、決勝でサフィナに快勝したスベトラナ・クズネツォワ(Svetlana Kuznetsova、ロシア)が優勝している。

 シーズン終盤には元世界ランキング1位のジュスティーヌ・エナン(Justine Henin、ベルギー)が現役復帰を発表したが、同じく元世界ランキング1位で2006年にウィンブルドンと全豪オープンで優勝したアメリー・モウレズモ(Amelie Mauresmo、フランス)は先日引退を表明し、2010シーズンはコートでその姿を見ることができなくなった。(c)AFP/Allan Kelly