【11月14日 AFP】東京五輪招致委員会(Tokyo 2020 Bid Committee)の竹田恒和(Tsunekazu Takeda)理事長(65)はAFPとのインタビューで、2020年五輪大会の東京招致には、19,000人もの犠牲者を出した2011年の東日本大震災で傷ついた日本を癒す力があると語った。

 2012年ロンドン五輪を前に、国際オリンピック委員会(International Olympic CommitteeIOC)の委員に就任した竹田氏はまた、東京五輪の招致成功で生じる経済効果についても、日本に良い影響を及ぼすだろうと述べる。

 招致活動について「(震災後の)困難な時期を経た今、アスリートやスポーツそれ自体が社会の中で大きな存在感を示し、スポーツの持ちえる力を見る良い例だ」と語る竹田氏は、最終的に五輪開催実現への期待が震災で傷ついた日本を癒し、国を一つにする重要な役割となると語った。

「間違いなく、五輪開催は東北地方と日本全国に利益をもたらします」

「東京都の推計では、五輪招致による国への経済効果は380億ドル(約3兆円)に上ると見込まれています」

「もし東京が五輪の開催地として選ばれたら、大会開催費用を考慮に入れてもその経済効果は全体的にプラスとなるでしょう」

「招致委員会と三菱総合研究所の調査によると、招致により国内15万件もの雇用が生み出されると試算されています」

■落選を教訓に「パワーアップ」

 また、他の候補地であるイスタンブール(Istanbul)とマドリード(Madrid)と比べ、東京が最有力候補とされている事については、結果にしか興味がないと語る。

 父親の故・竹田宮恒徳王(Prince Tsuneyoshi Takeda)と同様に障害馬術の選手であった竹田氏は、「五輪・パラリンピック招致は生半可な事ではありません」と述べ、「他の候補地も招致にはかなり力を入れており、それぞれ面白いコンセプトを用意して臨んでいます」と続けた。

「東京が現時点で最有力候補であるか否かには興味がありません。最終的に開催地として選ばれて欲しいだけです」

 東京五輪開催の是非は、2013年9月7日にIOC委員100人強による投票で決まる。2016年の五輪はリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)での開催が決まり、東京は3位で落選したが、前回の招致活動から多くを学んだと竹田氏は述べる。

「今回の招致活動は、よりパワーアップしています。前回の良い部分だけを残し、他を強化しました」

「メインスタジアム、新しい選手村の場所、そして交通手段や、その他インフラなど、いくつかの重要な計画について改訂しました」

「新しい委員会と新しい人材、そして新しい計画で挑んでいます」

■世界中に東京を「発信」

 前月、東京都知事職を辞任したカリスマ的存在の石原慎太郎(Shintaro Ishihara)氏が招致活動から外れたが、五輪開催に向けた都民からの支持は保たれていると明治天皇のひ孫にあたる竹田氏は語る。

「石原前都知事不在でも、東京都は招致活動の支援を続けてくれると確信しています。石原氏の辞任は招致活動に何の影響も及ぼさないでしょう」

 東京は開催地として五輪を委ねるのに適した都市だと語る竹田氏は、これまでの招致活動に満足しているという。1964年の東京五輪を訪れた同氏は、五輪に刺激を受けたと語る。

「我々はすばらしい招致キャンペーンを用意しています。そして東京は世界に伝えたいことがあります」

「もちろんIOCの海外への情報発信の限度に関するガイドラインに則ってはいますが、2013年1月に東京五輪構想を世界へ発表する為に、意欲的に動いています」

 東京五輪は興奮とイノベーションが織り交ざった、卓越した大会になるであろうと語る竹田氏は、2013年には東京にとって夢のシナリオが待ち受けているだろうと締めくくった。(c)AFP/Pirate Irwin