【7月28日 AFP】米国反ドーピング機関(United States Anti-Doping AgencyUSADA)は27日、AFPの取材に応じ、ドーピング検査で陽性となった陸上・男子短距離のタイソン・ゲイ(Tyson Gay、米国)の別のサンプル検査でも禁止薬物が検出されたことを明らかにした。

 世界歴代2位の記録を持つゲイだが、これにより大会の欠場は第14回世界陸上モスクワ大会(14th IAAF World Championships in Athletics Moscow)にとどまらない可能性が高くなった。

 ゲイについてはすでに、5月16日の抜き打ち検査で採取されたAサンプルが陽性反応を示していたが、USADAは今回、同日採取のBサンプル、さらに別のAサンプルも陽性となったと明かした。

 USADAのトラビス・タイガート(Travis Tygart)会長は声明で、「ゲイ氏から採取したBサンプルの分析が終わり、それにより、Aサンプルの分析結果が正しいと確認されたことを発表する」と述べた。

「またゲイ氏から採取した別のサンプルについても、Aサンプルが同氏に不利な結果を伴って返ってきた」

「先のAサンプルの調査結果を伝えられてすぐ、ゲイ氏が体内の禁止薬物に関する責任を認めていたことを考えれば、この結果は予想できるものだった」

 ゲイは、6月に行われた全米陸上選手権(USA Outdoor Track & Field Championships)の男子100メートルと200メートルで優勝していたが、Aサンプルが陽性反応を示したことを受け、8月に行われる世界陸上の欠場を表明していた。

 ゲイは調査結果について、信頼していた人物に裏切られたと話し、薬物の使用を示唆する発言をしていたが、それ以上の詳しい状況についてはコメントしていない。

 世界陸上の欠場が決まっているゲイだが、これで少なくとも1回のドーピング違反が確定し、さらに違反回数が増える見込みであり、長期間の出場停止が科される可能性もある。

 8月9日で31歳となるゲイは、2007年の第11回世界陸上大阪大会(11th IAAF World Championships in Athletics Osaka)で100メートル、200メートル、4×100メートルリレーで金メダルを獲得して3冠を達成。2012年のロンドン五輪では4×100メートルリレーで銀メダルを獲得した。

 ゲイのAサンプルの陽性が公表された今月14日には、短距離界のスター選手であるアサファ・パウエル(Asafa Powell、ジャマイカ)についても検査で陽性となったことが判明し、2年に一度開催される世界陸上を前に、陸上界は大きな打撃を受けている。(c)AFP