【7月28日 AFP】イングランド・プレミアリーグのアーセナル(Arsenal)は、アーセン・ベンゲル(Arsene Wenger)監督が「とても難しかった」と語る酷暑のアジア遠征を終え、前向きな雰囲気でイングランドへ帰国した。

 27日にロンドン(London)へ戻ったアーセナルは、この後さらに数試合の親善試合をこなし、13-14シーズン開幕戦となる8月17日のアストン・ビラ(Aston Villa)戦を迎えるが、夏の移籍市場での有力選手獲得にはいまだ至っていない。

 ベンゲル監督はクラブの公式ウェブサイトで、新シーズンの開幕へ向けて「準備は順調に進んでいる」としたものの、同時にアジア遠征の消耗から回復するには時間がかかる可能性があるとも語った。

「遠征はとても難しいものだったから、ここからどれくらい早く回復できるかが重要になる」

 アーセナルはアジア遠征の4試合すべてに勝利したが、最終戦となった26日のJリーグ1部(J1)、浦和レッドダイヤモンズ(Urawa Red Diamonds)戦では苦戦し、2-1の僅差の勝利となった。

 ベンゲル監督は気温30度、湿度75パーセントの気候の中で2部練習を組むなど、日本でも強度の高い練習を敢行した。また日本に先立っては、24人の選手を率い、より気温の高いインドネシアとベトナムで親善試合を行っている。

 全2週間の日程の中で、アーセナルはインドネシア・ドリームチーム(Indonesia Dream Team)を7-0で退け、ベトナム代表を7-1で粉砕した。

 その後、J1の名古屋グランパス(Nagoya Grampus)に3-1と、監督がアーセナルに就任する1996年まで18か月間指揮し、躍進へ導いたチームから勝利を収めた。

 そして迎えたレッズ戦、アーセナルは交代出場した17歳のチューバ・アクポム(Chuba Akpom)が後半37分に決勝点を挙げ、終盤で勝利をつかみ取った。

 しかしアーセナルは新シーズンを前にして、フランスのユース年代の代表に召集されている20歳のヤヤ・サノゴ(Yaya Sanogo)をフランス・リーグ2のオセール(AJ Auxerre)から獲得した後は、有名選手と契約を結ぶことができていない。

 アーセナルは2003-04シーズン以降、リーグ優勝から遠ざかっている。

 今オフには、リバプール(Liverpool FC)のルイス・スアレス(Luis Suarez)の獲得を繰り返し試みているものの、拒否されている。報道によれば、アーセナルはこれまでに3500万ポンド(約53億円)、続けて4000万ポンド(約60億円)と移籍金を増額してのオファーをリバプールに提示し、現在は3度目のオファーの準備を進めていると言われている。

 63歳のベンゲル監督は、移籍市場の情勢の移り変わりを考えると、契約までこぎ着けるのは厳しいと語った。

「欧州サッカーはこのところ変化を迎えていて、2、3年前であれば才能豊かな選手たちはみなイングランドへ来ていたが、今ではフランスなどの国が獲得するようになった。おかげで才能ある選手を狙うのはとても難しくなっている」

「トップレベルの選手は多ければ多いほどいいが、われわれは(今いる)選手とチームを高めることに意識を集中している」

「中盤には多くの候補がいる。中盤のポジション争いは激しい。(バカリー・)サニャ(Bacary Sagna)はセンターバックとしてかなり安定してきた。今は強力なメンバーがいる。移籍市場でさらにチームを強化する」

(c)AFP