【11月18日 AFP】国際サッカー連盟(FIFA)のジョセフ・ゼップ・ブラッター(Joseph Sepp Blatter)会長が16日、米CNNのインタビューの中で人種差別を容認するような発言をしていたことが明らかになった。

 CNNワールドスポーツ(CNN World Sport)でブラッター会長は「サッカーに人種差別はない。存在したとしても挑発みたいなもので、試合後に握手して和解すればいい」と語っていた。

 ブラッター会長の発言を受けて17日、元イングランド代表のデビッド・ベッカム(David Beckham)をはじめ、デービッド・キャメロン(David Cameron)英首相らから批判の声が上がっている。

 ロサンゼルス・ギャラクシー(Los Angeles Galaxy)とヒューストン・ダイナモ(Houston Dynamo)が対戦するMLSカップ(MLS Cup 2011)の記者会見に出席したベッカムは「一連の発言は許し難いものであり、多くの人が同じように批判していると思う」と語った。

 キャメロン英首相は「人種差別発言を試合の一部として受け入れるべきだなんて軽率でぞっとしている」とコメントを発表し、イングランド・プロサッカー選手協会(Professional Footballers' AssociationPFA)のゴードン・テイラー(Gordon Taylor)会長は、サッカー界のリーダーは反人種差別のリーダーであるべきだとして、ブラッター会長が辞任に値すると主張した。

 文化・メディア・スポーツ省(The Department of Culture Media and SportDCMS)のヒュー・ロバートソン(Hugh Robertson)英スポーツ大臣は、2018年サッカーW杯の開催地の買収疑惑が報じられた時からブラッター会長の信頼は失われていると話し、「彼がサッカー界のトップに相応しいか疑問視される出来事は今回が初めてではない」として辞任を要求した。

 人種差別撲滅団体の会長を務めるヘルマン・ウーズレイ(Herman Ouseley)氏は、ブラッター会長が人種差別問題を理解しておらず、小さな問題は握手で解決できるが、人種差別は小さな問題ではないと指摘した。

 批判を受けてブラッター会長は、発言に誤解があったとして、FIFAが人種差別撲滅に協力的であると釈明した。

 しかし、イングランド代表のリオ・ファーディナンド(Rio Ferdinand)は、ツイッター(Twitter)で「あなたの人種差別を見下した発言には失笑するしかない。サポーターが人種差別発言をしても、握手しにくれば許されるのか」とブラッター会長を批判した。

 イングランド・プレミアリーグでは、リバプール(Liverpool FC)に所属するルイス・スアレス(Luis Suarez)がマンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)に所属するパトリス・エヴラ(Patrice Evra)に、チェルシー(Chelsea)に所属するジョン・テリー(John Terry)がクイーンズ・パーク・レンジャーズ(Queens Park Rangers)のアントン・ファーディナンド(Anton Ferdinand)に対して人種差別を行った疑惑が持ち上がっており、イングランドサッカー協会(Football AssociationFA)と警察が調査に乗り出している。(c)AFP