【7月11日 AFP】世界最高峰の自転車ロードレース、ツール・ド・フランス(Tour de France)を7度制したランス・アームストロング(Lance Armstrong)氏は10日、米国反ドーピング機関(United States Anti-Doping Agency、USADA)の告発の取り下げを再び米連邦裁判所に申し立てた。

 この数時間前にUSADAは、アームストロング氏の元同僚3人に対して永久追放処分を科している。

 自身もドーピング使用疑惑で告発されているアームストロング氏は、USADAによる告発、または処分の一時差し止めを連邦判事に求めている。

 USADAが1999年から2005年までのツール・ド・フランスにおいて「チーム内での組織的ドーピング使用を謀った」として処分を下したのは、現在は消滅したUSポスタルサービス(U.S. Postal Service)でチームドクターを務めていたルイス・ガルシア・デル・モラル(Luis Garcia del Moral)氏、アームストロング氏の個人トレーナーでありチームのコンサルタントでもあったミケーレ・フェラーリ(Michele Ferrari)氏、当時の監督のペペ・マトリ(Pepe Matri)氏の3人。

 今回の処分についてUSADAのトラビス・タイガート(Travis Tygart)会長は「スポーツ界からこの3人を追放することで、現役選手や新たな世代の選手たちを彼らの魔の手から守り、今後の競技の品位を守るという断固とした表明だ」とコメントした。
 
 ドーピング疑惑で6月にUSADAから告発されていたアームストロング氏を含む6人のうち、これで3人に処分が下されたこととなる。このほかに告発を受けているのは、現在レディオシャック・ニッサン(RadioShack-Nissan)でチームドクターを務めるペドロ・セラヤ(Pedro Celaya)医師と、同チームのスポーティングディレクターであるヨハン・ブリュイネール(Johan Bruyneel)氏で、ブリュイネール氏は疑惑を一貫して否定している。

 アームストロング氏は9日、地元のテキサス(Texas)州西部連邦地裁へ申し立てを行ったものの、同地裁のサム・スパークス(Sam Sparks)判事は、アームストロング氏の弁護人が提出した80ページに及ぶ書類は、ドーピング違反の制裁を科そうとするUSADAに対する異議ではなく広報活動であると批判し、申し立てを退けていた。

 再度の申し立てにあわせて25ページとなった書類では、この件に関する裁定権を持つのはUSADAではなく国際自転車競技連合(International Cycling Union、UCI)であり、USADAの判断基準は合衆国憲法に違反する、という異議が述べられている。

 1999年から2005年までツール・ド・フランス7連覇を達成し、現役を引退しているアームストロング氏に有罪判決が下されれば、優勝剥奪と選手活動が永久禁止となる可能性がある。(c)AFP