【11月6日 AFP】09MLBワールドシリーズでニューヨーク・ヤンキース(New York Yankees)を27度目の優勝に導き、シリーズMVPに輝いた松井秀喜(Hideki Matsui)だが、シーズン終了後に契約が切れることからその去就が注目されている。

 7-3で勝利した4日のフィラデルフィア・フィリーズ(Philadelphia Phillies)とのワールドシリーズ第6戦に5番・指名打者で出場した松井は、6打点を挙げてヤンキースの9年ぶりとなるワールドシリーズ制覇の立役者となった。

 チームメイトのニック・スウィッシャー(Nick Swisher)は「松井は素晴らしい仕事をしてくれた。シーズンを通して難しい場面で何とかしてくれた。彼はMVPにふさわしい。疑いの余地はないよ」と語っている。

 「ゴジラ(Godzilla)」が愛称の松井は、ワールドシリーズで13打数8安打(打率.615)3本塁打8打点を記録し、ヤンキースは4勝2敗で前年王者のフィリーズを下している。

 チームキャプテンのデレク・ジーター(Derek Jeter)は「彼は(ワールドシリーズ制覇を)心から望んでいた。松井は大好きなチームメイトの1人。いつもプレーする準備を整えている。彼はプロフェッショナルだ」と語っている。

 第6戦で松井は、1960年のボビー・リチャードソン(Bobby Richardson)に並ぶワールドシリーズ1試合最多タイの6打点を記録したが、タイトルがかかった試合のプレッシャーの中で同記録を達成したのは松井1人しかいない。

 ヤンキースのジョー・ジラルディ(Joe Girardi)監督は「彼は年間を通して勝敗を左右する場面で素晴らしい働きをしてくれた」と語っている。

 だが、ワールドシリーズでの活躍が、松井にとってヤンキースでの最後の仕事になるかもしれない。

 松井が2005年に結んだ4年5200万ドル(当時約62億円)の契約はシーズン終了後に切れ、ブライアン・キャッシュマン(Brian Cashman)ゼネラルマネージャー(GM)は松井を賞賛しているものの、2010年以降の契約について明言していない。

 キャッシュマンGMは「彼は驚くべき選手。日本から来てとうとうチャンピオンになった。われわれとともに(ワールドシリーズ制覇を)成し遂げてくれてうれしい」と語っている。

 松井自身はヤンキース残留を望んでおり「最後はそうなればいい。ニューヨークは大好きだから」と語っている。

 両ひざに故障を抱える松井は、外野手ではなく指名打者での出場に限られることから、ヤンキースはその処遇について難しい局面を迎えている。

 ヤンキースは、2000年以来となる優勝を果たしたワールドシリーズでMVPを獲得した松井が退団し、他チームと契約することを認めるのだろうか?

 王貞治(Sadaharu Oh)氏の日本プロ野球最多本塁打記録の55本に敬意を表して背番号55をつける松井は、2002年に読売ジャイアンツ(Yomiuri Giants)で50本塁打を放ち、2003年からMLBに挑戦している。

 通訳を介して松井は「このためにここに来た。ワールドシリーズ制覇は僕のすべて」と語っている。(c)AFP/Jim Slater